今後、神戸空港島の液化水素荷役基地から、三宮まで水素ガスパイプラインを敷設して、神戸市の中心部まで水素を供給するインフラ整備にも参画を予定している。

 こうした実証実験の経験を生かして、国土交通省の「カーボンニュートラルポート」(CNP)構想にも参画している。この構想では、国際物流の結節点・産業拠点となる港湾で水素、アンモニアなどの次世代エネルギーの大量輸入や貯蔵、利活用などを図る。また、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化を通じて、温室効果ガスの排出をゼロにするCNP形成を目指している。

 今後、6地域の港湾(小名浜、横浜・川崎、新潟、名古屋、神戸、徳山下松)を対象にCNP検討会を開催する。その結果をもとに国土交通省と資源エネルギー庁が連携して、水素などを活用したCNP実現に向けて需要性や利用について技術的な課題の調査・検討を進める予定だ。

 大分県九重町では、地熱由来の水素利活用(自社実証)を進めている。

地熱由来の水素利用を推進

 再生可能エネルギーの1つである地熱は、国内での安定供給が可能なエネルギーとして期待されている。しかし、利用可能な場所の多くが山間部に位置するため、送電網の容量が不足しがちという課題がある。

 開発期間が長いことや、固定価格買取制度(FIT)を適用するための商用電力系統の容量が、他の再生可能エネルギーで先に埋まってしまい、送電線への接続が困難になることもあり事業化が遅れている。

 そこで同社は、地熱で得た電力を系統連系するのではなく、水を電気分解してグリーン水素をつくり、地元のエネルギー自給率の向上に貢献することにした。地元でのグリーン水素の活用を促すため、地熱発電で製造した水素を工場などへ陸送する仕組みを構築した。実証プラントの稼働開始は、21年7月を予定している。

 水素製造実証プラントで製造したグリーン水素は、地元の工場に搬送して地域のエネルギー資源として有効活用を予定している。また、研究パートナーを広く募り、地熱発電電力やグリーン水素の活用方法を検討していく。

■ 大分県九重町の地熱由来水素活用(大林組自社実証)の概要
出所:大林組
[クリックすると拡大した画像が開きます]