福島県浪江町では、環境省の委託事業として、既設の太陽光発電所の電力でつくった水素を、地域で有効に活用する実証事業を進めている。

 この事業の目的は、「福島水素エネルギー研究フィールド」に建設された10MWの太陽光発電設備から得られる水素を有効活用する仕組みを検討することだ。

 具体的には、地域の複数の施設に設置した燃料電池発電の燃料として利用することを想定している。複数のガスシリンダーを集結させたカードル搬送で、宿泊施設や介護施設、復興事業の現場などを巡回して水素を供給する。搬送はカードルからトレーラーへと規模を拡大し、最終的にはパイプラインを敷設して効率良く水素を供給することも視野に入れている。

 水素のサプライチェーンを最適化し、水素社会の実現に向けたモデル事例にしたいという。

■ 福島県浪江町の水素利活用(環境省委託事業)の概要
太陽光を利用した水素製造プラント「福島水素エネルギー研究フィールド」(写真)
(写真提供:NEDO 図版提供:大林組)
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海外にサプライチェーンを拡大

 ターゲットにしたのは、地熱発電を利用した「グリーン水素」(再エネによってつくられたCO2フリー水素)の製造に力を入れているニュージーランド。現地企業と共同で事業会社を設立し、地熱発電所の電力を利用する水素製造プラント(1.5 MW規模)を建設した。これによって年間100t程度の水素を製造・貯蔵・運搬するサプライチェーンを構築し、事業性を検証する21年春から水素製造を開始する予定だ。

 同国は再エネのポテンシャルが高く、既に国内電力需要の約8割が再エネ由来電力で賄われている。「地熱発電による電力の発電単価が日本よりも安く、将来的にはグリーン水素をタンカーで日本に輸出しても採算が合うと見ている」と、島氏は展望を語る。

 25年以降は年間1300~4000t程度のグリーン水素製造を目指し、日本への海上輸送を実証する。30年以降は年間7万t程度に拡大し、50年のカーボンニュートラルに寄与していく。

■ ニュージーランドの地熱発電を利用したグリーン水素製造の概要
ニュージーランド北島のオークランドとウエリントンの中間地点タウポに建設された水素プラント(写真)
(出所:大林組)
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