植物性油脂事業と業務用チョコレート事業の主要原料は、海外で生産されるパーム油とカカオ豆である。持続可能な調達のため、児童労働の撲滅や森林破壊の抑制などの問題に取り組んでいる。

 「植物性油脂事業」と「業務用チョコレート事業」の2つで売上高全体の約70%を占める不二製油グループ(以下、不二製油)。パーム油を主原料とするチョコレート用油脂の売上高は世界トップ3の一角を占め、カカオとパーム油を主原料とする業務用チョコレートは世界第3位、国内第1位のシェアを誇る(いずれも同社推定)。

 パーム油とカカオは、不二製油の事業を支える主要原料であり、その「サステナブル調達の強化」は経営の重要課題になっている。それぞれのサステナブル調達の取り組みを具体的に見ていく前に、一般にはあまり馴染みのないパーム油についておさらいしておこう。

 パーム油の原料はアブラヤシの果房。その果肉から得られる油は、様々な商品に使われている。チョコレートやスナック菓子、カップ麺などのインスタント食品から洗剤、化粧品まで、スーパーに並ぶ商品の約半数に使われているという。チョコレートではパーム油によって口溶けなめらかな食感が得られるし、洗剤や化粧品ではパーム核油が水分と油分を混ざりやすくする界面活性剤の原料になる。食品や日用品になくてはならない便利な原料で、日本人の1人当たり年間消費量は6kgになる。

 パーム油の生産はインドネシアとマレーシアが全体の8割以上を占める。生産効率がよく低コストで手に入るため、他の油脂原料に全面的に置き換えるのは難しいとされる。

 しかしその一方で、農園による森林破壊や人権侵害といった環境・社会問題を抱えている。例えば、アブラヤシを栽培するために森林伐採を行ったり、重いアブラヤシの果房をナタで切り落としてトラックに積む過酷な労働は外国人労働者に頼り満足のいく給与や住居を与えなかったり、小規模農家で児童労働が行われているといった問題がある。

「農園まで」の難しさ

 不二製油は2016年3月、「責任あるパーム油調達方針」を策定し、NDPE(森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ)を最終目標に掲げた。KPI(重要業績評価指標)として、「30年に農園までのトレーサビリティ100%」と「25年までにマレーシアの主要グループ会社パルマジュ エディブル オイルの全サプライヤーへ労働環境改善プログラム適用」の2つを設定した。

 これらを実現するため、①トレーサビリティの改善、②サプライチェーンの改善、③グリーバンス(苦情処理)メカニズムの実践、④戦略的パートナーシップ「ユニフジ」の取り組み──の4つの活動を進める。

 パーム油のサプライチェーンは複雑だ。農園や小規模農家が収穫した果房を仲買人が搾油工場に持ち込み、搾った油を一次精製した後、油脂加工・精製を経てパーム油の商品となる。不二製油の搾油工場リストには約1300軒が登録されており、「搾油工場までのトレーサビリティ100%」を19年に達成した。

■ パーム油のサステナブル調達におけるトレーサビリティ
不二製油グループ「責任あるパーム油調達方針」では、2030年までにパーム農園までのトレーサビリティ(TTP)100%をKPIに設定した
(出所:不二製油)