不二製油は19年1月、米国の大手業務用チョコレート会社のブラマー社を買収した。環太平洋地域で2位の業務用チョコレートメーカーとして、そのプレゼンスは大いに高まった。買収したブラマー社もサステナブルプログラム「Sustainable Origins」をコートジボワールを中心に展開し、4万1000軒もの農家を束ねる。

 プログラムの内容は、児童労働の撤廃、所得向上のための支援、女性の社会的地位改善、トレーサビリティの確立、森林破壊の抑制、地域コミュニティのインフラ(学校・病院・井戸など)の支援などだ。

■ ブラマー社は独自にカカオ豆の認証制度を導入・展開している
ブラマー社の植林活動のほか、カカオ栽培地域農園で2030年までに100万本の植樹を行う
ブラマー社の植林活動のほか、カカオ栽培地域農園で2030年までに100万本の植樹を行う
ブラマー社の取り組みについて学ぶ販売・事業統括部門の研修会
ブラマー社の取り組みについて学ぶ販売・事業統括部門の研修会
(出所:不二製油)

 「児童労働の根底には教育問題がある。資金がなければ政府は学校を造れないし、教科書も配れない。カカオの産業界だけではなく、政府もNPOも一緒になって取り組む必要がある」と、科野氏は問題の本質を指摘する。

 そこで注目したのがスイスのヤコブ財団の活動だ。コートジボワールで子どもたちへの教育機会の提供と栄養状態改善のプログラムを総額1億5000万スイスフラン(約177億円)かけて提供している。不二製油はその活動に賛同し、5年間で100万ドルを拠出し支援する。

 こうした様々な取り組みにより、不二製油は20年12月、気候変動など環境分野に取り組む国際NGOのCDPから、森林、気候変動、水の3つでAを獲得した。トリプルA評価は世界で10社、日本では花王とともに初の獲得となった。

 さらに20年8月には、パーム油、カカオ豆に限らず、包括的にサステナブル調達を強化するため、「サステナブル調達委員会」を設置し、科野氏が委員長に就任した。「パーム油とカカオ豆についてはKPI達成に向けて3年間のロードマップを作成する。大豆については調達方針を定め、KPIを設定する」(科野氏)

 購買活動全体にかかわる「サプライヤー行動規範」も作成中で環境、人権、コンプライアンスなどガバナンスに関して、不二製油のサプライヤーへの期待を示し、継続的な対話の基盤とする。こうした取り組みを積み重ね、サステナブル調達を着実に進化させていく。

■ カカオ豆のサステナブル調達の取り組み状況
■ カカオ豆のサステナブル調達の取り組み状況
カカオ豆は赤道を挟んで南北20度以内で生育し、主な生産国は西アフリカや南米。不二製油グループはコートジボワール、ガーナ、エクアドルの3カ国でサステナブル調達のプログラムを展開する
(出所:不二製油)
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