20年7月には、ツイッターに新アカウント「ヤクルト届けて通信」を開設した。乳酸菌の話や健康情報、熱中症対策など季節のトピックも取り上げる。現在、フォロワー数は10万人に達している。10月にはオンライン上に「Yakult BASE(ヤクルトベース)」という既存顧客用のサイトも開設した。クイズやゲームを取り入れながら、健康や栄養に関する情報と商品の紹介をしている。

 こうした新たな取り組みの一方、コロナ禍で活動を続けるヤクルトレディをバックアップする各種の助成にも力を入れている。

 全員に特別見舞金を支給した。さらに感染対策のためのハンディアルコール除菌スプレーやマスクのほか、マスクによる肌荒れ防止のため自社のローションなどを配布している。ヤクルトレディとその家族が健康を維持できるよう、「ヤクルト400LT」のサンプルも助成した。「こうした取り組みはヤクルトレディの会社に対する信頼やモチベーションアップにつながり、アンケート調査では仕事への満足度がアップしたとの声が寄せられた」と広報室CSR推進室の星有加里主事補は話す。

 パンデミックで健康管理への関心が高まったこともあり、同社の乳製品はコロナ禍中の20年4~12月も売り上げ本数1日平均958万本余りと対前年比で1.9%増えた。宅配専用の新商品「Yakult(ヤクルト)1000」「ヤクルト400W」(地域限定商品)の実績も好調だ。

 同社は1972年から各地の自治体と協力し、ヤクルトレディが高齢者の家を訪問し商品を届けながら安否確認を行う「愛の訪問活動」を続けてきた。19年度には125の自治体から委託を受け、3万7000人近くの高齢者を訪問している。

 広報室CSR推進室の水野敦子主事補は、「コロナ禍の中でも安否確認の活動を止めることはできない。保冷受箱を使った宅配を行った上で、インターホンを通して声をかけたり、離れた場所から商品を取り込む姿を確認したりと工夫をしながら活動を続けている」と説明する。

 同社は例年、敬老の日の訪問活動で一人暮らしの高齢者にお祝いの花を贈っている。20年も、「人との接触が減っている高齢者に花を贈り励ましのメッセージを伝えることは意義があると考え、感染対策を徹底し、受け渡し時間を短縮するなど工夫をした上で活動を続けた」と水野主事補は話す。

ベトナムで「ヤクルト」10万本寄付

 コロナをきっかけに、海外拠点での地域社会への貢献活動も進展させている。ベトナムでは政府が「新型コロナウイルス対策基金」を設立した。企業から国民まで幅広く募金や支援物資の提供を呼びかけていた。ベトナムヤクルトはこの基金に対して、いち早く「ヤクルト」10万本を寄贈し、グエン・スアン・フック首相から感謝の言葉を受け取った。

 ベトナムヤクルトでは、手洗い習慣の浸透と感染症予防のため、各地の保健所、市場、病院、幼稚園の入り口などに手洗い台を設置した。その数は21年2月時点で318台に達する。現地では、「建物に入る前に手洗いができるのがよい。施設の利用者が積極的に手洗いするようになった」と好評だという。

■ ベトナムでの地域貢献活動
ベトナムヤクルトは現地の「新型コロナウイルス対策基金」に対して、ヤクルト10万本を寄付した
手洗い習慣の浸透と感染症予防を目的に、ベトナム各地の自治体や施設に手洗い台を設置
(出所:ヤクルト本社)

 「ヤクルト」は、感染症で命を落とす子どもたちを救いたいという創始者・代田 稔の思いから生まれた。予防医学の観点から、栄養を摂る腸の健康を保つことが重要だと、乳酸菌シロタ株を取り入れた「ヤクルト」を開発した経緯がある。

 「事業の根幹に健康がある。コロナ禍で健康に関心が高まる今こそ、皆さまの健康に役立ちたいとの思いは強い」と星主事補。新サービスの導入や情報発信の多様化など工夫を重ねつつ、ニューノーマルに対応した事業活動を継続する。