コロナ禍で苦戦を強いられる茶産業の発展・成長に貢献すべく、茶農家の支援に力を注ぐ。健康機能についての研究・開発・情報発信を強化し、お茶の価値向上も図る。

 新型コロナウイルスの感染拡大は、様々な産業に深刻な打撃を与えた。茶産業も例外ではない。

 外食の激減で茶系飲料の需要が減った。例年、新茶シーズンの4~5月が商戦期のピークとなるが、緊急事態宣言が発令された2020年、21年は収穫量が減り、取引額も大きく落ち込んだ。2年続けて最大商戦を取りこぼし、経営に窮して茶栽培をやめた農家も多い。

■ 茶産地育成事業の茶畑
■ 茶産地育成事業の茶畑
高品質な茶葉の安定調達と日本農業の課題解決の両立を視野に、1976年から「茶産地育成事業」に 取り組む(出所:伊藤園)

 茶系飲料のトップブランド「お~いお茶」を擁し緑茶飲料市場で33%とトップシェアを誇る伊藤園は、この状況に大きな危機感を抱いた。マーケティング本部長の志田光正氏は、「この2年間は、茶産業が生き残り発展するための活動に全力を注いできた」と話す。

 まずは高品質な茶葉の安定調達と日本農業の課題解決の両立を狙い、1976年から行なってきた「茶産地育成事業」の取り組みを強化した。茶農家が生産する茶葉の全量を、伊藤園が買い取ることで経営の安定化を図る。急須でいれる茶葉、緑茶飲料用の原料茶など、製品に合う栽培・加工方法を農家と協働で作り上げた。

AIの活用で「おいしさ」を追求

 2001年以降は、自治体や地元企業と協力して耕作放棄地を茶畑に転換する「新産地事業(以下、新産地)」を推進し、後継者不足や耕作放棄地の増加などの課題解決に取り組んでいる。契約茶園の面積は20年度末に2207ha、そのうち新産地は約500haに拡大している。

■ 茶産地育成事業による「関係者と伊藤園の価値」(左)と「展開面積の推移」(右)
■ 茶産地育成事業による「関係者と伊藤園の価値」(左)と「展開面積の推移」(右)
契約茶園の面積は2020年度末時点で2207haに達した。01年以降は自治体や地元企業などと協力し、耕作放棄地を茶畑に転換する「新産地事業」も推進。その面積は500ha まで拡大している
(出所:伊藤園)
[クリックすると拡大した画像が開きます]