アップサイクル製品は約100種類

 茶殻を入れた畳を開発し、エコマーク認証も取得すると、他にも茶殻を活用する製品のアイデアが社内から続々と寄せられた。茶殻を入れた石こうボードや壁材のアイデアもあった。茶殻入りの封筒、茶殻入りの名刺、茶殻入りの段ボールが提案された。そのほか、樹脂と茶殻を混ぜた合成材が提案され、のちに抗菌効果のある「お茶入りベンチ」として実用化された。

 茶殻入りの新しい製品の開発は自ら手掛けた。「樹脂を扱うとなると樹脂の勉強から始めた。石こうボードも紙も特性を勉強し、開発に生かした。1つひとつに苦労した」と佐藤氏は振り返る。

 現在、年間6万3200tほどの茶殻が排出されているが、そのうち千数百tを新たに開発した付加価値の高いアップサイクル製品として活用している。最も多く茶殻を利用しているのは「お〜いお茶」の段ボールだ。アップサイクル向けの茶殻千数百tの約半分が段ボールへの配合に使われている。

 これまでに開発したアップサイクル製品は約100種類に上る。この1年のヒット商品は「茶殻入りの3D立体快適マスクフレーム」だ。

 新型コロナウイルス感染症の蔓延でマスクを付ける人が急増したが、息を吸い込むとマスクが顔に貼りつくことを不快に感じる人は多い。このフレームはマスクが直接肌に触れるのを防ぎ、メイク崩れや肌荒れ、会話のしづらさを軽減する。ほんのり茶の香りがするのも好まれているという。

■ 茶殻を配合した、紙、樹脂、建材、シートなど、工業製品への茶殻リサイクル
■ 茶殻を配合した、紙、樹脂、建材、シートなど、工業製品への茶殻リサイクル
(出所:伊藤園)

 「アップサイクル向けの茶殻の使用量は毎年100tずつ徐々に増やしていく予定だ」と佐藤氏は言う。アップサイクル製品向けの茶殻は有価で販売しており、堆肥や飼料より高い単価で売れているという。

 緑茶飲料のトップランナーとして、伊藤園は「茶畑から茶殻まで」のバリューチェーンを通して、環境・社会の課題解決に取り組んでいる。