新社長のもと人事評価制度を一新し、社員とともに成長する企業へ。地域に根ざしたSDGs推進活動に努めながら、企業としての持続を目指す。

 廃棄物処理・再生業を手掛けるNIK環境(岡山県倉敷市)は、事業そのものがSDGsを体現する。1978年の創業以来、産業廃棄物収集や一般ごみ回収、処分や再生事業を通じて循環型社会の実現に貢献してきた。

 2006年から、様々なSDGs活動に取り組んでいる。一般ごみのリサイクルによるCO2削減量の見える化では、07年に「ストップ温暖化賞」(岡山県地域温暖化防止プロジェクト)を受賞した。

 環境や貧困、人権、平和、開発などの課題に身近なところから取り組み、持続可能な社会を目指すESD(持続可能な開発のための教育)も推進している。14年に岡山市で開催されたユネスコESD世界会議で、岡山地域のESD重点取組組織に指定された。15年には、地球温暖化を防止する活動を実践する団体として、岡山県の備中県民局長から表彰された。

手つかずだった組織づくり

 代表取締役社長として、20年9月に就任したのが佐藤真一氏だ。

 NIK環境は1978年、創業社長が個人商店として立ち上げた。順調に顧客基盤を拡大し、85年に法人化した。社員数も増え、創業当時は5人ほどだった従業員数が現在は50人規模に拡大している。

 「これまでは会社を大きくすることと顧客を広げることが最優先事項だったため、社内でいくつかの問題が表面化した。そこで社長就任を契機に、組織やガバナンスの仕組みを見直した」と佐藤社長は語る。

 今後、NIK環境はどのような会社を目指すのか。そのためにはどのような組織とガバナンスが必要なのか。佐藤社長はとことん考え抜いた。

 「企業として成長していくには、社員も成長していかなければならない。創業者と2代目社長はカリスマ性があり、一人で会社を引っ張ってきたが、これからは社員と会社が一緒に成長する必要がある」

 社員一人ひとりが成長するには何が必要なのか。佐藤社長が到達した結論は、「仕事に対してやりがいを感じることが、働きながら成長することの根元にある」という考え方だ。これはSDGsの目標8「働きがいも経済成長も」に通じるものだ。ガバナンス改革の基本原理をここに求めた。

 実際に、どのようにガバナンス改革を進めたのか。1つの事例を紹介しよう。

 社長に就任して間もなく、数人の社員から、給与や福利厚生など待遇を改善してほしいと直訴された。確かに、給与や福利厚生を見直して、手っ取り早く社員の満足度を上げることはできるだろう。それが果たして会社の将来にとって良いことなのかと自問自答を繰り返した。

 一人ひとりが仕事に対してやりがいを感じ、業務のスキルを上げ、生産性や安全性、顧客満足度の向上に取り組む。それこそが会社の業績アップにつながり、結果的に社員たちの給与や福利厚生の改善につながっていくのが企業の健全な姿であるはずだ。

 佐藤社長は給与を性急に引き上げるのではなく、社員の意識改革に着手することにした。「企業は変わり続けなければ生き残れない。それには一人ひとりが仕事のやり方を見直し、変わっていかなくてはいけない」と、朝礼の場などで社員たちに説き続けた。

社員を正当に評価する仕組み

 佐藤社長が社員のやる気を引き出すために真っ先に取り組んだのが人事評価制度の見直しだ。挑戦する機会が与えられ、正当に評価されることによって働く意欲と満足度が高まるからだ。しかし、従来の評価は、前社長個人の判断によるところが大きかった。それを改め、社員を客観的かつ正当に評価する人事評価制度をつくることにした。