中期経営計画で「サステナビリティ経営の高度化」を柱に据え、重要社会課題の目標達成にまい進する。「2040年代後半までに全ての石炭火力発電から撤退」を明言し、気候変動対策を加速する。

 2022年3月期の連結決算で純利益が4637億円と、過去最高を更新した。21年3月期の最終赤字決算から急回復した。同社が取り組むサステナビリティ経営も堅調に進み、この1年で様々な成果を挙げている。

 サステナビリティ経営を高度化するため、6つの重要社会課題を策定したのが20年6月である。「気候変動緩和」「循環経済」「人権尊重」「地域社会・経済の発展」「生活水準の向上」「良質な教育」という課題と長期目標を定めた。さらに21年5月、それぞれの課題に対して具体的なアクションプランである「中期目標」を策定した(下の表)。

■ 住友商事グループの6つの重要社会課題に対する取り組み
■ 住友商事グループの6つの重要社会課題に対する取り組み
6つの重要社会課題の解決について細かな中期目標とKPIを定め、経営戦略と一致させることでESG経営を推進する

(*1)住友商事グループの社員参加型の社会貢献活動プログラム

表は中期目標一覧を簡略的にまとめたもの。完全版は住友商事ウェブサイト「サステナビリティ経営の高度化」参照
(出所:住友商事)
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 6課題の中でも、特に「気候変動緩和」と「人権尊重」に関しては具体的なKPI(重要業績評価指標)を定め、積極的に推進してきた。

 特筆すべきは「気候変動緩和」に関する取り組みに関してで、22年2月に「気候変動問題に対する方針(19年制定)」の2度目の見直しを行なうと発表したことである。

 まず21年5月に「石炭火力では新規発電事業や建設工事請負には取り組まず、一般炭鉱山の開発も新規権益獲得はせずに、30年にグループ生産量をゼロにする」という1度目の見直しを行なった。

 2度目となる見直しについて、同社サステナビリティ推進部部長代理企画チーム長の江中一穂氏は、「気候変動問題への対応は日々改善している。石炭火力発電事業について21年には『一部の例外を除き撤退する』としたが、今回は例外事項を取り払い『40年代後半には全ての事業を終え、石炭火力発電から撤退する』と発表した」と説明する。

 22年3月には、環境に配慮した事業にかかる資金を調達するための「グリーンファイナンス・フレームワーク」を策定した。これに基づき同年5月に、200億円のグリーンボンド(環境債)を発行することを発表した。調達した資金は再エネ発電や森林事業、鉄道や高速通信規格「5G」の関連事業に投資する。機関投資家がESG投資を重視している姿勢に応えた形だ。