社会課題を解決するため、土地付き小型木造ストレージで地方都市展開も目指す。不測の事態にも的確に対応できる幹部を育成すべく、新たな人材育成メソッドを実践している。

 「大学がリモート授業なので、息子がいったん実家に帰ってくることになりました。明日アパートを引き払うのですが、すぐにトランクルームを借りられますか」

 エリアリンク取締役執行役員の佐々木亘(わたる)氏は、定期的に自ら行うコールセンター業務で、大学生の子を持つ母親からこのような電話相談を受けたことがある。

 大学生活のため地方から上京したものの、コロナ禍で対面授業を受けられず、アパート代を含めた生活費の負担に苦しむ大学生は多い。「出費を抑えるためにストレージ(トランクルーム)を利用する大学生が増えた」と佐々木氏は実感している。

 エリアリンクはストレージ業界で唯一の上場企業(東証2部)で、17%のトップシェアを握るリーディングカンパニーだ。2020年12月期の業績は減収減益となったものの、「予算を上振れして着地した」(佐々木氏)。要因は個人向けストレージ事業が好調に推移したことにあった。

 それを端的に示すのが物件の稼働率で、80.66%と過去10年間の最高水準に達した。通常は±1%以内で推移するが、前期比3.82%の大幅改善となった。

 同社はその理由を、コロナ禍でストレージへのニーズが高まったためと分析する。リモートワークが普及して自宅で働くスペースやより良い住環境が求められるようになり、不要な荷物をストレージに預ける人が増えているという。

ストレージ新商品を続々と展開

 エリアリンクは、「世の中に便利さと楽しさと感動を提供する」という経営理念のもと、目指す姿の1つとして、「ESG経営を推進し、社会課題を解決する」とうたっている。同社にとっての社会課題とは何か。佐々木氏は次のように説明する。

 「課題は大きく2つ。1つは住環境を改善することで、ストレージは直接貢献できる商品と考えている。もう1つは、ストレージという環境負荷の比較的少ない商品を広めて、環境問題の解決に貢献することだ」

 以前は土地権利整備事業(底地)やストレージを投資家に販売するストレージ流動化事業に力を入れていた時期もあったが、在庫管理の大変さや売買の難しさなどに直面した。現在は、ストレージ運用を中心に利益を上げていくという経営方針にシフトしている。

 21年に打ち出した新商品が、小型木造ストレージ「ストレージミニ(仮称)」だ。自社で取得した土地に木造3階建て・40室規模のストレージを建てる。各階にエアコンがあり、部屋はパーティションで区切られているため、一定の温度・湿度管理が可能になる。着物のようなデリケートな品も収納できる。

 トランクルームに比べて敷地が小規模なので、地方の5万人都市、10万人都市に展開し、ニューファミリーが暮らす駅前のマンション集積地域などでの需要を見込む。今後は青森市や千葉県船橋市、埼玉県春日部市への展開を予定している。ストレージが普及していない東南アジアの都市にも潜在ニーズがあるという。

 もう1つの新商品は、倉庫・事務所・住居・駐車場として利用が可能な「ハロービズハウス」。21年3月、東京都町田市に6棟タイプがオープンした。トイレやシャワー室を完備したメゾネットタイプで、1階がストレージ、2階が事務所兼住居として使うことができる。現物商品を扱うスタートアップに狙いを定めて開発した。実際、部品卸売などのスタートアップによって、オープン前に全室が埋まった。

■ 多角的に展開するエリアリンクのストレージ
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2021年3月にオープンしたハロービズストレージ「ハロービズハウス町田小川」。駐車場付きのメゾネットタイプで事務所兼住居など使い方は様々、オープン前に全室が埋まった