顧客第一を掲げるストレージ事業には、サービスの拡充も欠かせない。荷物の集荷からトランクルーム収納までを請け負う運搬サービス「ハロー宅配便」、交通系ICカードに対応したセキュリティー物件の展開のほか、Webサイト「kurasul(クラスル)」でストレージ活用法に関する情報発信も行っている。

 さらに、従業員の福利厚生としてトランクルームの利用を促し、それぞれの利用法を審査する「収納グランプリ」を開催した。ユーザー目線での気付きを生み、商品の改善を進めるのが狙いだ。今後はストレージ業界団体の一般社団法人日本セルフストレージ協会(JSSA)主導による収納グランプリを実施中、業界全体で市場の拡大を目指す。

■ 多角的に展開するエリアリンクのストレージ
東京都練馬区豊玉南の街並みに溶け込む外観のハローストレージ。コロナ禍におけるハローストレージの稼働率向上が同社の収益率を押し上げた
東京都練馬区豊玉南の街並みに溶け込む外観のハローストレージ。コロナ禍におけるハローストレージの稼働率向上が同社の収益率を押し上げた
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社員のストレージ利用法を審査した『収納グランプリ』の入賞事例。今後はストレージ業界団体を巻き込んだ開催で市場全体の拡大を目指す<br><span class="fontSizeS">(出所:エリアリンク)</span>
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社員のストレージ利用法を審査した『収納グランプリ』の入賞事例。今後はストレージ業界団体を巻き込んだ開催で市場全体の拡大を目指す<br><span class="fontSizeS">(出所:エリアリンク)</span>
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社員のストレージ利用法を審査した『収納グランプリ』の入賞事例。今後はストレージ業界団体を巻き込んだ開催で市場全体の拡大を目指す
(出所:エリアリンク)

 環境問題への配慮としては、木造ストレージの耐用年数の長期化、コンテナ型ストレージの美観の改善と腐食防止に取り組んでいる。

幹部クラスの育成に注力

 人材育成にも力を入れている。同社には、林尚道社長が実践してきた仕事術を体系化した独自プログラム「エリアリンクマスター制度」がある。これまで一般社員向けの人材育成や業務効率化のために活用していたが、新たに幹部クラスを対象にした育成メソッドを開発した。「深く物事を考える習慣を身に付け、不測の事態にも先手で動けるような幹部クラスを育成する」(佐々木氏)。

■ 幹部育成メソッド
■ 幹部育成メソッド
独自に開発した幹部クラス用の人材育成メソッド、将来の経営リスクと課題をリスト化し、根本解決策を考え、先手で動くための仕組み
(出所:エリアリンク)

 このメソッドの特徴は、「心配事ノート」「課題ノート」「根本解決シート」を順番に埋めていくことにある。例えば、今日富士山が噴火したらどうなるかという心配ごとやリスクを「心配事ノート」に書き込み、従業員の安否確認をどうするかなどの課題を「課題ノート」に列挙し、それらの対策を「根本解決シート」に整理していく。「社長から、心配事ノートは毎日書くように言われているが、さすがに毎日は難しいので、土曜日の朝に心配事ノートを書き、午後に課題ノートをまとめるようにしている」と佐々木氏は話す。

 幹部がまとめてきた課題について、週明けに会議で根本的な解決法を議論し、解決に向けた対策や新たに加わった課題を根本解決シートに書き込み、内容を更新する。これを毎週繰り返し、心配事、課題、根本解決策を明確にしていく。

 最近は、ウッドショック(木材の供給量不足による価格上昇と入手難)が起きた場合、どのように根本解決を図るかなどが重要なテーマとして議題に上がったという。

 経営上、不確定な不安要素を残しておくのが一番よくない。しかも不安が現実のものとなった場合、迅速かつ適切に対応できるとは限らない。事前に課題を洗い出し、解決策を考えておけば、突然問題が生じても冷静に対応できるはず──こうした林社長の発想から、幹部クラス向けの新しいメソッドは生まれた。将来の経営層を育てるツールとして着実に機能し始めているようだ。