ささやかでも顧客に「さすが」と思われる行動を繰り返すことで、経営理念の実践を目指す。情報システムの整備や人材育成などによって経営基盤を強化し、基幹のストレージ事業の拡大を図る。

 コロナ禍が業績に影を落とす企業が多い中、エリアリンク取締役管理本部長の佐々木亘(わたる)氏は、「追い風を受けて極めて好調」と話す。

 「ハローストレージ」ブランドで市場のトップシェアを占めるストレージ(トランクルーム)事業が大きく伸びた。2021年度のストレージ稼働率は85.86%と、前年度から5.2ポイント上昇し過去最高値を更新している。在宅勤務が増えた上に休日も外出がままならず、「雑然とした家を整理し心地良い空間にしたい」と考えたユーザーの需要をつかんだ。

 21年12月期決算では、土地権利整備(底地)事業で在庫を圧縮した影響から売上高こそ206億円と前年度比8.5%減だったが、ストレージ事業がけん引し営業利益は30億円と同33.8%増、売上高営業利益率は前年度の10.1%から14.8%に向上した。

 「ストレージの認知度が徐々に上がり、抵抗なく荷物を預けるユーザーが増えてきた。ストレージは日本の暮らしを変え、社会になくてはならない存在になりつつある」と佐々木氏は自信を深める。

月に1回「さすが賞」を授与

 エリアリンクは「世の中に便利さと楽しさと感動を提供する」という理念の下で事業を推進してきた。22年2月には改めて経営理念を体系化し、「ストレージを通じて日本の暮らしを変える」をミッションに、「ストレージ業界の絶対的なリーダーになる」をビジョンに掲げた。一人ひとりの社員に価値観を浸透させ経営理念を徹底するために「ささやか“さすが”宣言」も公表した。

 ささやか“さすが”とは何か。エリアリンクには経営理念を日常の行動に落とし込んだ理念活動指針がある。それを意識し行動することで、顧客に「さすが」と感じてもらおうという趣旨だ。決して大がかりな行動である必要はない。日々の業務で小さな「さすが」を繰り返すことで経営理念が実践できると考えた。

 この方針を社内に浸透させるため、月に1回、「さすが賞」も授与する。自薦・他薦で300~400件集まる事例の中から役員4人が議論して選ぶ。全社集会では「さすが賞」1件のほか、10件ほどの事例を発表し意識の向上を図っている。

■ エリアリンクの存在意義
■ エリアリンクの存在意義
2022年2月に体系化した経営理念を公表した。日々の業務で理念活動指針を意識し、ささやかでも顧客に「さすが」と感じてもらう行動を取ることで経営理念の実践につなげる
(出所:エリアリンク)

 ストレージ事業を着実に拡大させてきたエリアリンクだが、潜在市場はまだ大きいと見て、さらなる成長を図る。参考にするのが米国市場だ。

 米国でのストレージの利用は約1350万室と世帯総数の10.6%に達する。一方、日本では60万室でまだ1.1%にとどまる。佐々木氏は、「住宅が狭く1人当たり床面積が米国の4割ほどしかない日本の方がストレージの需要は大きいはず。少なく見積もっても10倍以上に市場が拡大する余地がある」と説明する。