サステナビリティ実現のため、「おいしさ」「健康」に加え「低負荷」を追求する。業務用揚げ油や家庭用プラントベースフードで、環境や社会への負荷軽減を客観的に証明した。

 食品会社にとって、「おいしさ」「健康」の実現は企業の存在意義にも通じる根源的な価値提供といえる。そこに「低負荷」というキーワードを加えたのがJ-オイルミルズだ。

 2021年4月に企業理念体系「Joy for Life~食で未来によろこびを~」を策定した際、サステナビリティの実現を盛り込んだ。バリューチェーンにおいて環境負荷の抑制や、関わる人々の労働・作業負荷の低減が重要な要素になると考えた。

 既に低負荷をコンセプトとする商品を市場に投入し始めている。代表的な商品の1つが業務用揚げ油の「長徳」シリーズだ。

 揚げ油は使い続けると色が濃く、においが強くなり、酸化が進む。外食店などの調理現場では一定期間使って古くなった揚げ油を捨て、新しい油に入れ替えている。J-オイルミルズは、国内で1年間に使う業務用揚げ油約100万tのうち、約35万tが捨てられていると推計する。

 油脂事業本部油脂事業統括部業務用事業部開発企画グループ長の鈴木豪氏は、「廃棄量を減らし資源の節約、生産・輸送時のCO₂排出量の抑制、調理現場での作業負担の削減など、サプライチェーン全体の負荷を抑えることが揚げ油の重要課題だった」と説明する。

揚げ油でCFPマーク取得

 そこでJ-オイルミルズが開発したのが、独自技術「SUSTEC(サステック)」だ。油が持つ抗酸化成分に着目し、製法を工夫し劣化を抑える。この技術を活用した揚げ油は着色(色が濃くなること)が約3割、においが2割、酸価の上昇が1割抑えられ、一般的な揚げ油よりも3割長い期間使えるようになるという。

 同社は07年から「SUSTEC3」の技術を使った揚げ油を販売してきたが、21年5月に「長徳」ブランドに刷新した。同時に長徳シリーズのキャノーラ油について、ライフサイクル全体でのCO₂排出量の抑制効果を算出した。「外食店のサンプル調査で揚げ油の劣化度合いを測り、使用量とCO₂排出量を割り出した」(鈴木氏)という。

 これにより、長徳キャノーラ油が従来の菜種油に比べCO₂排出量を21〜26%削減することを確認し、事業で排出するCO₂を表示するカーボンフットプリント(CFP)の認定を受けた。CFP取得は工業製品に多く、食品では珍しい。

■ 独自技術で油の使用量を削減し、環境負荷・労働負荷の低減に貢献
■ 独自技術で油の使用量を削減し、環境負荷・労働負荷の低減に貢献
「長徳」シリーズはライフサイクル全体でCO₂排出量を21〜26%抑制する。国際規格に準拠したCFPマークも取得した
(出所:J-オイルミルズ)
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 コーポレートコミュニケーション部の藤田一郎氏は、「長徳がお客様にコスト削減という経済価値に加え、環境価値や社会価値も提供する製品であることを客観的に実証できた」と話す。CFPマーク取得後、長徳を使って調理した総菜を提供するスーパーなどからは、「容器やPOPで訴求したい」という要望が届いているという。