企業価値創出を念頭に置いた社会貢献活動としてデジタル・フィランソロピーに取り組む。インドではAI技術を活用したX線画像診断によって結核患者を早期発見するプロジェクトを進める。

 システムインテグレーター最大手のNTTデータは、ITの力で顧客企業や社会の課題を解決することを目指す。「NTTデータグループのESG経営とは、事業と企業活動を通じた社会貢献によって、企業価値向上に取り組むこと」と、同社総務部サステナビリティ担当シニア・スペシャリストの金田晃一氏は明言する。

 実際に同社はESG経営をどのように進めているのか。まずSDGs(持続可能な開発目標)の17のゴールを直視し、同社にとっての「リスクと機会」と「社会課題」を洗い出した。そのうえで2019年にESG重要課題を改訂し、12項目を特定すると共に、本業での社会課題解決を明確にした。「従来、ESGは本業外の配慮項目として理解されていたことが社内浸透のネックになっていた。そこで、本業での社会貢献であることを明確に位置付け、中期経営計画でもESG推進戦略を前面に打ち出した」(金田氏)。

多彩な切り口で社会に貢献

 20年に開示したサステナビリティレポートでは、社会課題を解決する製品・サービスの提供活動をCase Bookとして明らかにした。遠隔医療ソリューションで医療従事者の負担を軽減したり、デジタル3D地図で災害対策に貢献したりといった16事例を示すことによって、社会課題を解決する事業で十分収益が上がることを示した。

 もう1つ力を入れているのがグリーンビジネスの推進、ITによる社会・顧客のグリーン化だ。金田氏は、「全社で気候変動問題への取り組みを進めるために、20年11月に気候変動アクション推進委員会を立ち上げた。そこで各事業部門の活動を管理、グリーンビジネスやグリーン電力、グリーン購買、働き方改革などを進めている」と説明する。

 また、社会課題解決と新しい金融サービスをつなぐことによって、未来につながるビジネス創発を支援する「SPLAB(スプラボ)」を設立した。複数の業界が集まって、社会課題を熟知する日本NPOセンターをパートナーに新領域の事業創発に取り組んでいる。

 さらに最近注力しているのが、「企業価値の創出を念頭に置いた社会貢献活動」であるデジタル・フィランソロピーという取り組みだ(下の図)。社会貢献活動にデジタル技術を加え、ITスキルの高い社員のプロボノによる支援(社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識を生かして取り組むボランティア活動)に特徴がある。

■ デジタル・フィランソロピーの概念図
■ デジタル・フィランソロピーの概念図
デジタル技術を有効活用して、インパクトのある社会課題解決を図り、それを事業化して収益創出につなげる
(図版提供:NTTデータ)
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 「様々な実証実験を行い、社会課題の解決をインパクトのある形で実現する。それによって社会と企業の共有価値を生み出し、最終的には事業化して収益を創出することを目的にしている」と金田氏は強調する。