聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

セラミックスメーカーとして、スパークプラグ、車載用酸素センサーなどで世界シェアトップを誇る。2040年に向けて、「Beyond ceramics, eXceeding imagination」というビジョンを策定した。

第7次中期経営計画で目標としていた2020年3月が過ぎました。

川合 尊 氏(以下、敬称略) 中計で示した3つの軸のうち、「既存事業のさらなる強化」については、基本事業である自動車関連で想定以上の結果が出ました。一方、「新規事業の創出」では投資を行って種まきを進めましたが、成長ビジョンを示せなかったのが反省点です。「経営基盤の強化」については、「至誠信実、四海兄弟、独立自営、素志貫徹」という日特ウェイを策定し、意識改革を進めていますがROIC(投下資本利益率)経営は道なかばというところです。

若手がビジョン策定に参加

川合 尊(かわい・たけし)
日本特殊陶業 代表取締役社長
1962年10月生まれ、87年京都工芸繊維大学大学院修了後、日本特殊陶業に入社、2015年取締役 常務執行役員、16年取締役 専務執行役員などを歴任、19年4月より現職(写真:谷本 結利)

「2030長期経営計画」では、「2040目指すべき姿」からバックキャストして「2030長期経営計画 日特BX」を位置づけています。

川合 内燃機関向けの製品は30年から35年をピークに減少に転じると予想され、40年にはこれまでの延長線上にない変化が求められます。そこで、まず自分たちが40年に目指す姿を描き、それを実現するには30年までにどういう土台をつくるべきかを考えました。

 目指す姿の作成には、そのころに会社の中心となる30代の社員を集め、7人前後のグループ6つに分けて議論を重ねました。その結果、セラミックスの領域を超えた挑戦として、“Beyond ceramics, eXceeding imagination”「セラミックスのその先へ、想像のその先へ。」というビジョンを策定したのです。

「2030長期経営計画」では、注力する事業分野として4つを挙げています。

川合 選定した4分野は、それぞれSDGsの目標と関連付けました。もっとも会社が存在する意義自体が社会の持続性に何らかの貢献をすることなので、各分野の目指すところが自然とSDGsの目標にひも付いたという意識です。

■ 日本特殊陶業が今後注力する4つの事業分野
「2030長期経営計画」では、今後注力する分野としてこの4つの事業分野をあげており、それぞれSDGsの17の目標のうち、複数の目標に関連付けられている
(出所:日本特殊陶業)
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この4分野は、海外の展開も視野に入れているのですか。

川合 当社は、アジア、オセアニア、北米、中南米、欧州、中東、アフリカに拠点を持っています。海外売上比率は全体の8割超で、この4分野についても海外を中心に考えています。医療分野を例にとると、セラミックの骨をベースにした技術、ガスのセンシングを発展させた医療機器などがあり、人口が多く健康意識も高い米国や中国を大きな市場として期待されます。もちろん欧州も視野に入れていますし、やがてはインドも有望な市場となるはずです。