世界中でスペシャリティコーヒーを提供する同社が創業50周年を迎えた。エシカルなコーヒー調達で生産者を支え、SDGsの達成に貢献する。

 1971年3月に米シアトルで創業し、2021年50周年を迎えるスターバックス。以来、質が高く風味の良いスペシャリティコーヒーを世界中で提供し続け、国内の店舗数は1665店(うちライセンス店136店)にまで広がっている。

 事業の核となるコーヒーを持続的に調達していくため、同社は地球環境や地域社会と向き合いながら事業を進めている。

 ミッションに掲げる「人々の心を豊かで活力あるものにするためにひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」という思いを実現するため、「パートナー」と呼ぶ従業員が顧客に日々コーヒーの提供を通し、同社の価値を伝え続けている。

 商品本部リテイル&ビジネスディベロップメント部 コーヒーリーダーシップチーム コーヒースペシャリストの若林茜氏は、「事業を続けていくために、力を注いでいるのが、コーヒーのエシカル(倫理的)な調達」と説明する。

 コーヒーは、赤道をはさんで南緯25度から北緯25度の「コーヒーベルト」と呼ばれる地域に主要な生産国が集中する。その中でも質の高いコーヒー栽培に適した土地は限られる。昼夜の寒暖差が大きい標高の高い場所で、平均気温20℃前後、年間降雨量1200~3000mm程度、肥沃で水はけの良い土壌など、様々な条件を満たして初めておいしいコーヒーが作られる。

 栽培地の多くは都市から遠く離れ、これまでもコーヒー農園で働く生産者の貧困問題や劣悪な労働環境、環境破壊などの課題が指摘され続けてきた。温暖化の進展による気候変動で、栽培に適した地域が変わる可能性もある。コーヒー栽培が抱える課題の多くは、SDGsの目標に重なるものも多い。

独自ガイドラインで調達

 世界30カ国、40万人以上の生産者からコーヒーを調達している同社は、おいしいコーヒーを持続して提供していく大きな責任を担っている。

 コーヒー豆のエシカルな調達基準として、独自のガイドライン「C.A.F.E.プラクティス」がある。国際NGOのコンサベーション・インターナショナルの協力を得て策定したもので、4つの項目から成り立っている。

 おいしいコーヒーである「品質基準」と、適正な価格が生産者に支払われていることを証明する「経済的な透明性」があることを必須条件に、生産者の適正な生活が維持されている「社会的責任」と、栽培環境など「環境面でのリーダーシップ」について、第三者機関が現地調査を実施して評価する。

■ 独自ガイドライン「C.A.F.E.プラクティス」
■ 独自ガイドライン「C.A.F.E.プラクティス」
「品質基準」と「経済的な透明性」を必須条件に、「社会的責任」と「環境面でのリーダーシップ」を第三者機関が監査する
(出所:スターバックス コーヒー ジャパン)

 契約農園の認証は毎年更新され、同社は認証を得たコーヒー農園から100%調達することを目標に置いている。15年には調達したコーヒー豆の99%がC.A.F.E.プラクティスなどの認証プログラムの基準を満たした。100%ではないのは、毎年新しく契約するコーヒー農園があるためだ。

 「認証が取れている農園だけから調達すれば、達成率を100%にすることは簡単だ。新しい生産地を広げていき、理念に賛同して仲間としてコーヒー生産に取り組んでくれる農園を増やすため、1%の余白をあえて残している」とコーヒースペシャリストの若林氏は話す。