こうした潮流を受けて、東北電力は東北6県・新潟県を中心に風力発電を軸に200万kWに及ぶ再エネの開発に乗り出している。グリーンボンドで調達した資金は、これらの再エネ事業に充てられる。

■ 東北電力傘下の東北自然エネルギーが運営する能代風力発電所
東北電力は風力発電を軸に、東北・新潟エリアを中心に200万kWの開発をめざす
(写真提供:東北電力)

 東北電力グリーンボンドの最大の特徴は、英国に拠点を置く国際NGO・気候ボンドイニシアチブ(CBI)の認証を取得したことにある。CBIは、対象事業がパリ協定の2℃目標に合致することを確認した上で認証を付与するなど、基準が厳格なことで知られる。環境事業と関係のない事業に充当したり、期待した環境改善効果がわかりにくいグリーンボンドも存在する中、高い信頼性と透明性が確保され、投資家がESG投資の判断をしやすくなるメリットがある。

 脱炭素化への動きが進む中、海外では15年頃から主要大手電力会社が継続的にグリーンボンドを発行しているが、日本では東北電力が初のケースとなった。新聞紙上では「SDGs債の『本命』登場」と評されるなど期待値も高い。こうした背景から東北電力グリーンボンドは投資家の幅広い関心を集め、発行額50億円に対する需要倍率は4.3倍に達した。

 SMBC日興証券は20年9月にも、発行額100億円の第2回東北電力グリーンボンドの発行支援を行った。2回債では複数回のグリーンボンド発行を前提に、一部認証手続きを簡素化できるCBI「プログラム認証」の取得を支援し、グリーンボンドの継続的な発行を望む投資家から高い評価を得た。

気候変動への「適応」にも対応

 近年、国内では集中豪雨や大型台風などの災害が頻発している。水害被害の甚大化に伴い、「緩和」が中心だった気候変動対策において、「適応」の重要性が増している。

 SMBC日興証券はその適応に焦点を合わせた債券の起債も支援した。20年11月発行の神奈川県グリーンボンドだ。発行額50億円に対して約6倍の需要を集めた。資金は「神奈川県水防災戦略」に盛り込んだ河川の緊急対応、遊水池や流路のボトルネック箇所、海岸保全施設、土砂災害防止施設の整備に充てる。

 神奈川県は19年に発生した大型台風15号、19号を受け、気候が非常事態にあるという危機感を共有するために20年2月、「かながわ気候非常事態宣言」を行っている。気候変動適応の取り組みとして、21年度から3カ年にわたる神奈川県水防災戦略を定めた。

 今回、第三者機関の格付投資情報センター(R&I)から、これらの事業が国際資本市場協会(ICMA)の「グリーンボンド原則」、環境省「グリーンボンドガイドライン」に適合することが確認された。充当資金の100%が気候変動適応事業に該当する、国内で初の事例となった。

地銀初の「コロナ債」

 20年10月には地方銀行として初めて中国銀行が発行したソーシャルボンドの起債も支援した。発行額は100億円で、20年初頭から続く新型コロナウイルスの感染拡大によって、事業に影響を受けた顧客向け融資を資金使途とする。具体的には、「中銀新型肺炎対策緊急特別融資」や都道府県制度融資の「新型コロナウイルス感染症対応資金」、資本性ローンなどに充てる。