これら地域に根付く金融機関としてコロナ禍が引き起こした新たな社会課題を解決し、雇用の維持や経済の安定回復に貢献しようとする取り組みに理解が得られ、大手生命保険会社から地銀、地元・岡山県の法人まで、バランスよく投資家を集めることに成功した。

 20年9月にはJ-REIT(不動産投資信託)初のサステナビリティボンド発行の支援にも携わっている。物流施設特化型のJ-REIT、GLP投資法人が発行するサステナビリティボンドで、発行額は50億円。調達資金は、横浜市にある物流施設「GLP横浜」の取得に利用した借入金の返済に充てる。GLP横浜は、建築物の環境性能評価システムCASBEEからグリーンビルディングの認証を取得している。また、津波発生時には避難施設として地域住民に開放し、住民参加型の非難訓練も実施するなどソーシャル性も併せ持つ。GLP投資法人はサステナビリティボンドの発行によって資金調達手段の拡充に成功した形だ。

■ SMBC日興証券のSA(ストラクチャリングエージェント)案件
※ 緑色はグリーンボンド、黄色はソーシャルボンド、水色はサステナビリティボンド
(出所:SMBC日興証券)

銀証連携でフレームワーク構築

 SDGs債を中心に拡大してきたサステナブルファイナンスだが、昨今は多様化が進む。サステナビリティ目標に連動したリンク債、将来のCO2排出量削減につながる事業を資金使途とするトランジション(移行)債、そして融資やエクイティなどにも広がりつつある。SMBC日興証券はグループ力を生かし、SDGs債にとどまらないファイナンスのフレームワーク構築にも挑戦している。

 事例の1つが、臨床検査の受託と検査試薬の製造販売を手掛けるH.U.グループホールディングス向けに構築した「ソーシャルファイナンスフレームワーク」である。19年、三井住友銀行と連携し、ボンドやローンで使えるフレームワークを構築し、その一環で200億円のソーシャルボンド起債を成功させた。

 調達資金は、東京都あきる野市に新設する中核施設「新セントラルラボラトリー」への機器・ITシステムの導入に充てる。ヘルスケア関連では初のソーシャルボンドとなり、「医療を支える社会インフラとして社会的使命を果たしていく」という、H.U.グループのメッセージを訴求することができた。

 20年7月、三井住友フィナンシャルグループはESGやSDGsに基づく運用に強みを持つ英運用会社Affirmative Investment Management(AIM)と資本業務提携を結んだ。SMBC日興証券もAIMと連携し、その知見をSDGs債組成などに活用していく方針だ。

 気候変動問題など社会課題の解決は、今や待ったなしの状況にある。SMBC日興証券は、今後もSDGs債をはじめとするサステナブルファイナンスの推進により、投資家と企業をつなぐことで持続可能な社会実現に貢献していく考えだ。