中期経営計画に掲げた「SDGsへの貢献・取り組み強化」の方針の下、「SDGsスタジオ」を開設した。SDGsに関わる取り組みを進める団体、自治体、企業が情報発信する場を無償で提供する。

 「世の中のSDGsに関する取り組みを後押ししたい」――。

 そんな思いから、伊藤忠商事は2021年4月、東京都港区の本社敷地内に「ITOCHU SDGs STUDIO」を開設した。SDGsに関わる取り組みを進めるNGO、NPOなどの団体、自治体、企業などが様々な形で情報発信できるよう、無償で提供するスペースだ。

 同社がこのスタジオを開設した背景には、21年5月に発表した中期経営計画「Brand-new Deal 2023」において、基本方針の1つに「SDGsへの貢献・取り組み強化」を掲げたことがある。

 スタジオを企画・運営するCorporate Brand Initiativeの梅本良徳氏は、「当社は再生可能エネルギー、再生素材といったサステナビリティの実現につながる事業に投資をするなど、従来から本業を通じてSDGsに取り組んできた。しかし、伊藤忠商事グループだけでできることには限りがある。持続可能な社会の実現には、世の中全体の取り組みを前進させることが必要と考えた」と説明する。

 このスペースは、アートを通じた次世代育成、地域貢献、芸術・文化の振興のために設置していた「伊藤忠青山アートスクエア」の跡地にできた。次のステージとして、より幅広く社会に貢献できるスペースへと発展させた形だ。

 スタジオは「展示スペース」と「収録・配信ブース」で構成されている。国連のSDGsのアイコンと同じ17色のハトをモチーフにしたオリジナルロゴがスタジオを彩る。モデルでSDGsへの取り組みに関心の高いタレントの冨永愛氏をエバンジェリストとして起用し、SNSなどを通じてスタジオの活動を周知している。

■ SDGsの取り組みの発信拠点として2021年4月に開設したITOCHU SDGs STUDIO
■ SDGsの取り組みの発信拠点として2021年4月に開設したITOCHU SDGs STUDIO
伊藤忠商事の敷地内に開設したSDGs STUDIOの外観。17色のハトをモチーフにしたオリジナルロゴが目を引く
(写真:伊藤忠商事)

 開設以来、様々な団体・機関が展示スペースを活用した企画展を開いている。6月にはWWFジャパン監修による「サステナブル・シーフード展」を開催し、日々の食卓に上る水産物の問題や海のサステナビリティについて考える機会を提供した。9月には農林水産省が「選ぶ、食べる、サステナブル展」を主催し、見た目重視ではなく持続性重視の食品購入を訴えた。

 「世の中で注目され、関心の高い情報を積極的に発信していきたい。時には私たちが主催者をサポートしながら展示の企画を進めている」と梅本氏は話す。

 外部の団体や機関に情報発信の場を提供するだけでなく、伊藤忠商事もCorporate Brand Initiativeとサステナビリティ推進部が連携して企画展を催す。

 8月には、モノファクトリー(東京都品川区)などの協力を得てゴミ問題を考える「捨てない。展」を開催した。「夏休み中だったこともあり、廃材で工作するワークショップが子供連れに人気で、週末には1日150人ほどが来場した」(梅本氏)。

様々な催しが開催される展示スペース。ゴミ問題を考える「捨てない。展」では、廃材を使い工作するワークショップが子供連れの人気を集めた<br><span class="fontSizeS">(写真:伊藤忠商事)</span>
様々な催しが開催される展示スペース。ゴミ問題を考える「捨てない。展」では、廃材を使い工作するワークショップが子供連れの人気を集めた<br><span class="fontSizeS">(写真:伊藤忠商事)</span>
様々な催しが開催される展示スペース。ゴミ問題を考える「捨てない。展」では、廃材を使い工作するワークショップが子供連れの人気を集めた
(写真:伊藤忠商事)