創業150周年を迎える資生堂がサステナビリティ重視で環境対応を進化させている。ブランドの高級感を左右する容器でも、詰め替え・再利用で「美との両立」を探る。

 東京・銀座で日本初の「民間洋風調剤薬局」を1872年に創業した資生堂。2022年に150周年を迎える。洋風の薬局として開業しながら、社名は“和魂洋才”で中国の四書五経の1つ『易経』にある「至哉坤元 万物資生(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか、すべてのものはここから生まれる)」に由来するという。サステナビリティの観点から経営の方向性を見据える時、資生堂はこの社名の由来に大きな意義があると考えている。

 「大地はあらゆる価値を生み出す源。大地=地球であり、そこに住む人や環境をリスペクトしながら新しい価値を創造していく、事業を通じて課題を解決することが主眼です」

 資生堂の中村亜希子・社会価値創造本部サステナブル環境室長は、そう説明する。同社は20年1月、経営陣がサステナビリティに関する課題を議論して意思決定するサステナビリティコミッティを設立した。「環境・社会・文化」の各領域でサステナビリティ戦略の活動計画を検討・承認し、進捗を経営陣がモニタリングする体制をとっている。

 ミッションとして「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティイノベーションでよりよい世界を)」を掲げ、特に環境領域では事業を通じてどのように課題解決に貢献できるかを模索してきた。原材料の調達から製品の開発、生産から物流に至るまで、グローバルのバリューチェーン全体で環境保全への取り組みを推進している。

環境アクションに3つの柱

 その環境領域の戦略的アクションには3つの柱があるという。1つ目が「地球環境への負担軽減」。26年までのカーボンニュートラル実現に向け、電力消費量の多い工場での生産工程の見直しや再生可能エネルギーの活用を徹底する。オフィスや事業所でも再エネの利用を進め、20年には再エネ構成比が全電力消費量の33%に達している。気候変動で渇水になるリスクが高いとされる中国や欧州などでは水資源の管理と活用も徹底し、26年までに14年比で売上高原単位で40%削減を実現するという。「フランスでは水ではなくアルコールで洗浄し、そのアルコールも回収して再利用することも心がけている」と中村室長は話す。

 2つ目が「サステナブルな製品開発」。リサイクルやリユースなどが可能なパッケージを導入する商品デザインを目指している。

 3つ目が「サステナブルで責任ある調達の推進」で、持続可能な原材料の調達に重きを置く。化粧品に広く使われているパーム油では、26年までに「サステナブルなパーム油を100%使用する」との目標を掲げている。資生堂は10年に国際的NPOの「RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)」に加盟し、18年からRSPO認証パーム油のクレジット購入を開始し、認証パーム油への切り替えも行っている。さらに、化粧品の包装などに使われる紙については23年までに全量を再生紙や認証紙に切り替える。25年までに化粧品容器に関しては、「サステナブルパッケージ100%」の達成を目指している。

美は捨てずにサステナブル

 用途も購買層も幅広い、多種多様な化粧品を製造・販売している資生堂にとって、そのブランドイメージを大きく左右する商品パッケージは、サステナビリティの推進戦略にとって難関の1つだ。だが方針としては、「サステナビリティのためにビューティ(美)を諦めてはいけない」と中村室長は話す。サステナビリティ追求のためパッケージの美しさを捨てるのではなく、「つめかえ」「つけかえ」などリデュースやリユースの徹底で多様なパッケージを残し続ける方針を取っている。