20年に「資生堂5Rs」と呼ぶ、循環型経済の考えを重視した容器包装のポリシーを策定した。「5R」とはRespect(リスペクト)、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)、Replace(リプレース)の頭文字5つだ。そして20年には、化粧品の53ブランドで「つめかえ」「つけかえ」容器を展開している。

 「安っぽくなって『持つ喜び』がなくなってもダメだし、使いにくくなってもダメ。高級感があり、使いやすく、心地よい使用感であるという3つをきちんと提供できるのがポイントになる」と説明するのは、熊坂欽典・資生堂ブランド価値開発研究所サステナブル開発推進グループグループマネージャーだ。

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「エリクシール」化粧水の本体・レフィル(出所:資生堂)

 一例が、グローバルで販売しているブランド「エリクシール」。普段の使用時には容器を傾けて口径の小さな穴から化粧水などの中身を出す。この小さな穴から、中身の詰め替えは困難だ。そこで、詰め替え時には液体を注ぎやすいよう、容器の上部をひねると大きめの口が開くような設計にした。

 「普段使う際には大きな口が間違って開かないようにする仕組みにも苦労しました。このリユースやレフィルの工夫では化粧品業界で一歩リードしたと自負しています」と熊坂グループマネージャー。エリクシールのスキンケア商品は、これにより本体容器と比較してプラスチック量を83%削減できたとしている。

 同じく20年、資生堂は東京・銀座のSHISEIDO旗艦店で、使用済みの美容液の本体容器を持って訪れると容器を洗浄して中身を充填するサービス「アルティミューン ファウンテン」も始めた。21年8月からは、米国のスタートアップ、テラサイクル(ニュージャージー州)が開始した、容器を回収・洗浄し再利用する循環型ショッピングプラットフォーム「Loop(ループ)」にて、化粧品を販売。リユース可能なガラス容器を独自開発した。

■ サステナブルでより美しい世界を実現する、環境へ配慮したパッケージの取り組み
■ サステナブルでより美しい世界を実現する、環境へ配慮したパッケージの取り組み
SHISEIDO Ginza Flagship Storeの「アルティミューンファウンテン」。商品の容器を洗浄し中身を充填するサービスを開始
(出所:資生堂)
カネカ生分解性ポリマー Green Planet®を容器素材に100%使用した「SHISEIDO アクアジェルリップパレット」<span class="fontSizeS">(出所:資生堂)</span>
カネカ生分解性ポリマー Green Planet®を容器素材に100%使用した「SHISEIDO アクアジェルリップパレット」(出所:資生堂)

 容器を、生分解可能な素材に切り替えることにも着手した。20年に発売した「アクアジェル リップパレット」の容器には、化学大手カネカが開発した100%植物由来の生分解性ポリマーGreen Planet®(PHBH)を世界で初めて採用した。今後、プラスチック容器については25年までに、「リユース可能」「リサイクル可能」「生分解可能」のいずれかで、「サステナブルパッケージ100%」の実現を目標に掲げている。

 150年にわたって「ビューティイノベーション」を重ねてきた資生堂は、サステナビリティ戦略でも先駆的に新しい施策を試みながら、「美の本質」を追求する姿勢を貫こうとしている。