社会にどんな価値を提供する企業になるのかを明確にした「長期ビジョン2030」を発表した。環境特性に優れた貨物鉄道輸送へのモーダルシフトを推進し、カーボンニュートラルに貢献する。

 日本貨物鉄道(JR貨物)グループは2021年1月に最適なソリューションの提供と社会価値向上への貢献を目指して、「長期ビジョン2030」を発表した。

 「長期的なビジョンを策定したのは今回が初めて。社会的にESGへの関心が高まる中、当社がどのような価値を提供し、社会に貢献していくのかを改めて明確にした」と経営統括本部副本部長の高橋秀仁執行役員は説明する。

 長期ビジョンでは、「鉄道ネットワークの強靭(きょうじん)化」「オフィスビルや商業施設などの不動産事業の展開」「物流結節点としての貨物駅の付加価値を高め物流生産性の向上」「グリーン社会の実現、持続可能な社会の形成への貢献」という、4つの基本方針を掲げる。これらを実行することにより、「物流生産性の向上」「安全・安心な物流サービス」「グリーン社会の実現」「地域の活性化」の4つの価値を社会に提供することを目指す。

貨物列車の利便性を高める

 特にグループ連携による、貨物鉄道輸送の強みを生かしたモーダルシフトで、環境負荷低減と輸送効率の向上を目指す。その具体的な取り組みの1つが「ブロックトレイン」や、温度管理が必要な貨物を運ぶための「定温貨物列車」の新設だ。

 ブロックトレインとは、貨物列車の輸送力をブロック(区画)で販売し、列車1編成、あるいは一部貸し切りで輸送するサービス。同社の貨物列車1本分の輸送力は10tトラック65台分となり、宅配便のニーズが増えている中、顧客は自社のニーズに合わせた時間帯に荷物をまとめて輸送できる。さらにCO2排出量はトラックの約13分の1に抑えられるという優れた環境特性で、輸送時のCO2削減メリットもある。

 「お客様が利用しやすい輸送サービスを提供することで、ブロックトレインの利用を推進し、CO2排出量の削減につなげていきたい」と高橋氏は語る。

 04年から専用貸切列車の運行を開始したが、長期ビジョンに合わせてブロックトレインと名付けました。21年に3往復を新設し、年間3万435tのCO2排出量削減を見込む。現在は10往復を運行中である。

■ グリーン社会の実現に向けた貨物鉄道輸送の強み
■ グリーン社会の実現に向けた貨物鉄道輸送の強み
出所:日本貨物鉄道
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貨物駅の物流結節点機能を強化

 「物流生産性の向上」においては、マルチテナント型大規模倉庫「レールゲート」や、駅ナカ・駅チカ倉庫の全国展開を進めている。貨物駅から貨物駅へと荷物を輸送するだけでなく、駅の中に保管、流通加工、梱包・包装、荷役などの機能を加えることで、生産性と利便性の向上を狙う。