8年半ぶりのトップ交代

 既にESGの取り組みでは確固たる地位を築いた花王は、21年1月、8年半ぶりにトップが交代した。澤田道隆・前社長(現会長)からバトンを引き継いだのは、研究畑を長く歩んできた長谷部佳宏社長だ。

 澤田会長は社長在任中の18年7月に、社長直轄のESG部門を新設し、執行役員のデイブ・マンツ氏をトップに就けた。翌19年4月にはESG戦略「Kirei Lifestyle Plan(キレイライフスタイルプラン)」を策定し、経営のかじを大きくESGへ切ると社外へも表明した。

 長谷部社長は、こうした基盤を生かしながらESG経営をさらに推進する。21年度からスタートした新中期経営計画「K25」の方針の筆頭に、「持続的社会に欠かせない企業になる」と掲げたところにもそれがよく表れている。企業理念も、従来の「花王ウェイ」から「ESGドリブン花王ウェイ」へ刷新する。さらに、社員の評価もESGに連動させる。新たに「OKR(目標と主要な結果)」と呼ぶ人事制度を導入し、社員一人ひとりが必ずESGに貢献する目標を設定して取り組むようにする。

 澤田会長はかつてこう話していた。「売り上げや利益だけでなく、業績をもっと広い意味で捉えて賞与体系を構築したい。極端に言ったら、会社業績の半分くらいをESGに連動させる。個人業績への落とし込みもESG項目を相当入れたい。ESG連動を会社業績や個人業績に加えると仕事のやり方が変わると思う」。この思いは長谷部社長へ引き継がれ、いよいよ形となって動き出す。

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 21年3月8日発行の『日経ESG』の最新号(2021年4月号)では、花王のESG経営を徹底解剖した特集記事「企業理念も社員の評価も変える 花王が挑む価値100倍のESG経営」を掲載しています。

 21年1月に就任した長谷部佳宏社長のロングインタビューをお読みいただける他、ESG部門統括のデイブ・マンツ氏のインタビューや、「プラごみゼロ」「ESG調達」「人材戦略」「ガバナンス」「研究開発」のテーマ別にESGの取り組みを詳しく紹介しています。