プラ少ない容器に商機

 投資家が企業を評価する際にプラごみ問題を重視するのは、経営に大きな影響を及ぼすからに他ならない。エンゲージメント(対話)を通じて企業に対応を求めるだけでなく、取り組み度合いで企業を選別し、資金を投じるようになっている。

 企業にとってのリスクに何があるのか。例えば、花王が昨年実施した「シナリオ分析」からは、石油由来プラスチック製容器に対する課税、再生プラスチックの使用義務付けといったリスクが浮かび上がった。世界で気候変動対策が強化され、化石燃料使用量を削減する政策が実施されればコスト負担が重くなる。こうした規制リスクに加えて、対策を怠っている企業は社会から非難され、消費者に選ばれなく評判リスクもある。その一方で、プラごみ問題の解決に貢献する革新的な容器を開発することで、商品の売り上げ増や技術ライセンスの提供による収入増といった機会が想定される。

 1990年代から詰め替え商品を販売し、プラごみ削減に取り組んできた花王は今年4月、米国で投入した新ブランドでプラスチック使用量を半減した新型容器を採用した。詰め替え商品を使う習慣のない米国の消費者に好評で、「週を追うごとに売り上げが伸びている」(ESG部門統括のデイブ・マンツ執行役員)。

花王が米国で投入した新ブランド「MyKirei by KAO(マイキレイバイカオウ)」の商品。薄いプラスチックフィルムでできた容器「Air in Film Bottle(エアインフィルムボトル)」を採用した

 コスト増や顧客離れなど様々なリスクをはらむプラごみ問題だが、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進や代替素材の開発などに取り組むことによって、中長期的に企業価値を高めることになる。

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写真:Chavalit Phetcharee/Getty Images

 2020年10月8日に発行する『日経ESG』の最新号(11月号)では、プラスチックごみ問題をとりまく最新動向をまとめた特集記事「4.5兆ドル生むサーキュラーエコノミー 『プラごみゼロ』が生死を分ける」を掲載しています。

 投融資を通じてプラごみ問題の解決を後押しする野村やブラックロック、モルガン・スタンレー、第一生命など機関投資家や金融機関の取り組みをお読みいただけます。さらに、「プラごみゼロ」に挑む花王やスターバックス、アサヒグループ、ダウ、三菱ケミカル、三井化学の事例に加え、業界を超えてパートナーシップを強化する企業連合を紹介しています。