新型のESG債が続々と登場し、発行体の裾野を広げつつある。サステナビリティ・リンク・ボンドはその1つだが、投資家はジレンマを抱えている。

 グリーンボンドやソーシャルボンドといった環境や社会課題の解決に資金を投じるESG債の市場が急速に伸びている。世界の発行額は2020年に7000億ドル(約77兆円)を超えた(ローンを含む)。

出所:ブルームバーグNEF

 ESG債の種類は、資金使途が再生可能エネルギーの導入や途上国の支援などに限られるグリーンボンドやソーシャルボンドに、企業が脱炭素へ移行するのを支援するトランジション(移行)ボンドや、使途を制限しないサステナビリティ・リンク・ボンドなどが加わり、幅広い企業が発行できる環境が整ってきた。

目標未達で利率が上昇

 そうした中、野村総合研究所が21年3月に発行したサステナビリティ・リンク・ボンドが注目を集めている。サステナビリティ・リンク・ボンドとは、発行体企業のESG目標と発行条件を連動させた社債だ。日本では、20年10月に不動産大手のヒューリックが初めて発行した。

 従来のサステナビリティ・リンク・ボンドは、発行体企業が目標を達成できなかった場合に投資家に支払う利息の利率が上昇する商品が多く、ヒューリックの債券もそのタイプだ。

 こうした条件は、発行体企業にとって金利の負担が軽くなるため目標を達成するインセンティブになる。半面、投資家から見ると、目標未達の場合は利率が上昇するので収益面でプラスになるが、環境や社会課題の解決につながらなくなり、ジレンマが生じていた。