「ウオッシュ」であってはいけない

 キリンビバレッジが今回、熊本の復興支援をブランディングに絡めたのは、大きく2つの理由がある。1つは、キリンホールディングスが、東日本大震災でキリンビールの仙台工場が被災したのをきっかけに「復興応援 キリン絆プロジェクト」を立ち上げ、16年の熊本地震以降、同県を支援してきたことがある。

 もう1つは、キリンビバレッジが16~18年に同県の南阿蘇村で午後の紅茶のテレビCMを撮影したこと。CMに写る美しい風景が話題になり、人気の観光地にもなった。CMには南阿蘇鉄道の「見晴台駅」が登場していたが、同鉄道の路線は震災で甚大な被害を受け、現在もなお全線復旧に向けて工事が続いている。

 キリンビバレッジマーケティング部長の山田雄一執行役員は、「ブランディングではウオッシュ(見せかけ)になっては絶対いけない。なぜ、このブランドがやるのかがとても大事だ。熊本は、キリンホールディングスとしてずっと支援してきたし、(午後の紅茶のCM撮影にも使った)ゆかりのある場所でもある。一過性で終わらないよう継続して取り組むことによって、午後の紅茶のパーパス・ブランディングを次の段階へ上げていく」と言う。

キリンビバレッジマーケティング部長の山田雄一執行役員<br><span class="fontSizeS">(写真:キリンビバレッジ)</span>
キリンビバレッジマーケティング部長の山田雄一執行役員
(写真:キリンビバレッジ)

 同社は22年以降も熊本の支援につながる新商品を投入する計画で、少なくとも南阿蘇鉄道が全線復旧する23年までは取り組みを継続する。「23年から先も見据えているが、究極的にはこういうこと(支援を必要とするような災害)がなくなるのが一番いい」(山田執行役員)。

 もともと午後の紅茶では、原料の紅茶葉を生産するスリランカで地域社会に貢献する活動を実施してきた。13年から地元の紅茶農園に対して「レインフォレスト・アライアンス認証」の取得を支援している。キリンビバレッジは原料の安定調達を確保できるだけでなく、生産者にとっても生産効率の向上などによって収入増や子供の教育環境向上につながる。

 いちごティーを通じた取り組みによって、今度は国内で地域社会の課題解決を目指す。キリンビバレッジマーケティング部ブランド担当部長シニアブランドマネージャーの加藤麻里子氏は、「午後の紅茶のエントリー層に設定している10代は、学校教育などでSDGs(持続可能な開発目標)が広まっていることもあり、社会貢献に興味を持っている。今回の商品を通じて午後の紅茶が社会貢献活動をしていることを認識していただいて、1本買ってもらえたらうれしい」と期待する。

キリンビバレッジマーケティング部ブランド担当部長シニアブランドマネージャーの加藤麻里子氏<br><span class="fontSizeS">(写真:キリンビバレッジ)</span>
キリンビバレッジマーケティング部ブランド担当部長シニアブランドマネージャーの加藤麻里子氏
(写真:キリンビバレッジ)