東京証券取引所は6月11日、上場企業の行動原則である「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」の改定版を公表した。取締役会の役割、中核人材の多様性やサステナビリティへの施策が従来以上に重要となる。上場企業が投資家から信認を得るには、これらへの取り組みの適切な開示が鍵となる。今回の改正は、金融庁と東証が事務局をつとめる「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」からの提言を踏まえたものだ。同コードの改定に関わった金融庁企画市場局企業開示課企業統治改革推進管理官の浜田宰氏に、改定の骨子を聞いた。

――まず、日本でコーポレートガバナンス・コードが初めて策定された背景を聞かせてください。

浜田宰氏(以下、浜田):背景としては、2013年以降、政府が成長戦略の一環として企業統治改革を位置づけたことが挙げられます。2015年に金融庁と東京証券取引所が、上場企業の行動原則であるコーポレートガバナンス・コードを策定し、同年から適用が開始されました。同コードの狙いは、上場企業に対して、様々なステークホルダーと適切に協働しながら中長期的な企業価値の向上を促すことにあります。

 これに先立って2014年、機関投資家の行動原則である「スチュワードシップ・コード」を策定しました。投資家に対し、企業との対話を通じて投資先企業の持続的成長を促すのが同コードの狙いです。2つのコードが車の両輪のように機能することで、中長期的な企業価値と投資家や最終受益者へのリターンがともに向上し、日本経済の好循環が実現することが期待されています。

 スチュワードシップ・コードは2014年の策定後、2017年と2020年に改定されました。コーポレートガバナンス・コードは2015年の策定後、2018年に改定され、今回が2回目の改定になります。

浜田 宰(はまだ おさむ)氏
金融庁 企画市場局 企業開示課 企業統治改革推進管理官
トヨタ自動車勤務を経て、2008年に長島・大野・常松法律事務所へ入所。2014年より2016年まで、金融庁総務企画局(現企画市場局)企業開示課専門官。2016年4月にDT弁護士法人へ入所し、M&A(合併・買収)や組織再編、危機管理対応等の案件を中心に、企業法務全般について法的サービスを提供。2020年3月より現職。弁護士(日本・ニューヨーク州)。