2021年9月11日は、米国同時多発テロから20年に当たり、全米各地で様々な追悼式が行われた。テロ後、実行犯をかくまっていることを理由として、米国がアフガニスタンに侵攻。それから長い駐留の末にこの8月で撤退した。

 時は流れたものの、アフガン情勢を巡っては今も問題が山積みであることは周知の通りだが、加えて日本の関わり方について、20年前と似た構図が続くことも気になる。3つほど挙げて、アフガン支援に長く深く関わった故緒方貞子氏の発言から取るべき行動を探ってみたい。

「世界で一番大きい人道上の悲劇」

 1つは、米国の政策の失敗を叫び、政権への非難が目立つ点。9.11のテロ直後も米国の外交政策の失敗を強調する論調が目立った。批判が正しいかどうかはさておき、世界の関心が米国に集まっていることで共通している。だが当時、「アフガニスタンにこそ目を向けよ」と強調したのが、国連難民高等弁務官を務めた緒方氏だった。緒方氏は、長い政情不安で大量の難民を生み出したアフガニスタンの状況を「世界で一番大きい人道上の悲劇」と表現した。にもかかわらず、世界各国が問題解決に関心を向けず「忘れ去られた国になっている」とも話した。派兵する米国を先頭に「世界はテロリストの封じ込めだけではなく、現地の一般の人々をどう救うかを考えるべき」と指摘した。その必要性は今も変わっていないのではないか。

 それに関連して気になるのが、日本の貢献にある。9.11当時、研究者として米ニューヨークに滞在していた緒方氏は「日本政府はマスコミの前でワーワー話しているだけではなく、今こそ(国際社会のために)本格的な外交をするべき」と、テロ後の世界平和のために日本政府の積極的な関与を求めた。緒方氏自身は、「今は公職を離れているので、求められたら(個人的に)助言する立場」としていたが、その後、政府の要請もあり、日本政府アフガニスタン支援首相特別代表に就任。03年には国際協力機構(JICA)の理事長に就くなど国際援助の最前線に戻った。

 02年1月に東京で開かれたアフガニスタン復興支援国際会議では共同議長を務めて、「難民帰還問題は、復興問題である」と挨拶。その後も難民の帰還から復興・開発支援など国家再建にリーダーシップを発揮した。自らの言葉を実行に移し、結果として日本の取り組みを世界に示すことにもつながった。

 しかし現在、政治状況を巡っては新型コロナ対策は当然としても、後は自民党の次期総裁選びばかりが目に付く。「本格的な外交を」という緒方氏の言葉が改めて重く感じられる。

日本政府アフガニスタン支援首相特別代表を務めた故・緒方貞子氏(前列中央)は2002年1月9日、アフガニスタン・カブール近郊の村を訪れた
(写真:ロイター/アフロ)