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(出所:味の素グループ統合報告書2020)

森島 今回一新したビジョンについてもう少し説明させてください。まず「アミノ酸のはたらき」についてですが、アミノ酸はたんぱく質の最小単位で、生きとし生けるものの基本の物質です。筋肉や皮膚をつくるだけでなく、血液やホルモン、免疫機能にも関与しています。成長や発育を促したり、消耗を回復したり、体調を整えたり、食べ物をおいしくしたりする機能があります。

 私たちの身体を支えるアミノ酸は主に20種類あり、食物から摂取しなければならない必須アミノ酸と体内でつくれる非必須アミノ酸があります。動けない植物は20種類をすべて自分でつくりだせますが、人間は狩猟でたんぱく源を補充できるので、必須アミノ酸を自分でつくるのをやめて、その分を脳の発達などに回すように長い時間をかけて進化してきたのだと思います。非必須という言葉がよくないのですが、非必須アミノ酸は最後まで自分の体内でつくり続けている、ある意味で大事な役割をもったものだと言えます。例えば、代表的な非必須アミノ酸であるグリシンには睡眠の質を高める機能があることを我々が発見したのですが、この10数年内に分かってきたこもが多く、まだまだ未解明なものがたくさんあると思います。そういう意味でポテンシャルが大きく、世の中に貢献できる味の素のコアコンピタンス(中核になる強み)であると考えています。

 世の中での存在価値を高めるために今後はどのような企業も「ウェルネス」や「ウェルビーイング」「幸せ」といったキーワードを目標に掲げるようになるでしょう。味の素らしく進めるとすれば、食生活の改善や高齢化への対応が可能なアミノ酸のはたらきにこだわることです。

アミノ酸へのこだわりがよく分かります。

森島 食と健康の課題解決企業になるために味の素グループが取り組む課題として、高血圧と高齢者の機能低下(フレイル)の大きく2つがあります。高血圧には減塩が有効です。フレイルに関してはたんぱく質やアミノ酸の技術でソリューションを提供できます。

 健康寿命を伸ばすためのアプローチは「おいしさ」と「栄養」が中核になります。具体的には「おいしい減塩」と「タンパク質摂取促進」が2本柱です。それに加えて「おいしい減糖と減脂」「野菜や果物の摂取促進」「多様な由来のたんぱく質摂取促進」「職場の栄養改善」の6つを進めていこうと考えています。その上で大切にしている姿勢が「Nutrition without Compromise(妥協なき栄養)」です。翻訳すると分かりにくいかもしれませんが、普通ではトレードオフの関係というか、一緒には成立しないものを両立させることに価値があるという考え方です。

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(出所:味の素グループ統合報告書2020)