次に「スマートシティ」が挙げられる。トヨタが建設を予定している「Woven City(ウーブン・シティ)」を指すようだ。20年1月、米ラスベガスで開催された「CES 2020」で、あらゆるモノやサービスがつながるコネクティッド・シティの実証都市を静岡県裾野市に建設すると発表し国内でも大きく報道された。未来の都市づくりに挑むプロジェクトが、トヨタのブランドイメージを高めたと推測できる。

2021年から静岡県裾野市で建設に着手する予定の未来の都市「Woven City(ウーブン・シティ)」
(写真提供:トヨタ自動車)
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 これらと並んで自由意見での記述が多かった言葉が「トップ(社長)」だ。俳優の香川照之さんと共演するトヨタイムズのテレビCMが印象的だが、決算発表などで企業姿勢を明快な言葉で発信する豊田章男社長の姿を頼もしく感じているビジネスパーソンは多いのではないだろうか。

 20年5月の決算発表では、20年度に5000億円の連結営業利益を確保する見通しを明かすとともに、「(自分以外の誰かの幸せを願い、行動する)『Youの視点』をもつ人財を育てること」と「SDGsに本気で取り組むこと」が使命だと宣言した。

 「強い製品」と「先進的なプロジェクト」に加えて「トップの発信力」――。この3つがブランドイメージを高めていることが分かる。実際に、「経営トップがガバナンスに対する高い意識を持っている」「経営者がリーダーシップを発揮している」という設問では、他社を大きく引き離して第1位になっている。

■本気のサステナビリティの取り組み
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「SDGsに本気で取り組む」と宣言する豊田章男社長
(写真提供:トヨタ自動車)

 決算発表での豊田社長の宣言を裏打ちするように、トヨタではサステナビリティに本腰で取り組むための組織改革を19年から相次いで実行している。19年6月にサステナビリティ推進室を発足させ、20年2月には「Chief Sustainability Officer」と「Deputy Chief Sustainability Officer」を置いた。全社を俯瞰しながらESGを推進する役職だ。

 トヨタの本気度は、情報開示の方法からも読み取れる。サステナビリティ・リポートは1年に1回更新するのが一般的だが、トヨタは20年度から重要な情報が発生するたびにウェブサイトに掲載している「Sustainability Data Book」を随時更新する方法に切り替えた。既に4、5、7の各月に計3回更新している。一般の消費者には気づかれにくいところだが、こうした地道な取り組みの積み上げが、高いブランド価値につながるのだろう。

 働き方改革や人材育成でも、トヨタらしい地道な取り組みは始まっている。トヨタの生産現場で進められている効率改善や安全性向上の取り組み「カイゼン」は非常に有名だ。コロナショック以降、事務職でも生産性を大幅に高める活動を開始した。「やめる、変える、続けるの3つに自分の仕事を仕分けして、カイゼンに全社で取り組んでいる」(サステナビリティ推進室主査の斉藤秀明・担当部長)。

 人材育成では、「人間力」の育成に20年度から着手している。「周囲に良い影響を与えているか」といった人間性について上司や部下、同僚、関係部署に聞き、本人にフィードバックする360度評価を導入した。

 トヨタの評価が他社と比べて際立って高かった項目の1つに「製品の安全性に配慮している」が挙げられる。それには20年6月に同社が発表したクルマの安全性に関わる技術発表が影響している可能性がある。

 衝突事故で人体が受ける傷害を性別・年齢・体格の異なる様々なモデルでコンピューターを使って解析できるバーチャル人体モデル「THUMS(サムス)」の技術を21年1月から無償で公開すると発表した。豊田中央研究所と共同で00年に開発した技術を19年までにVersion6まで進化させた。その技術を世界のクルマの安全性のために提供することにした。

トヨタが無償公開を発表した衝突事故の解析モデル「THUMS(サムス)」
(写真提供:トヨタ自動車)
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