女性登用などで厳しい評価

 多くの項目で評価が高いトヨタだが、厳しい評価を突き付けられた項目もある。マイナスイメージを持っている人が多いのは「非正規労働者やマイノリティに対する差別が職場にある」(2位)と「女性の雇用に消極的・女性が幹部に登用されていない」(3位)だ。

 これらに対しても“カイゼン”に取り組んでいる。「クルマづくり全体で外国人労働の問題があると認識し、19年から20年にかけてサプライチェーンを含めて技能実習生の調査を実施した。ベトナムの送り出し機関や日本の管理団体と協議して実習生の手数料を下げる取り組みにも着手している」(斉藤・担当部長)。

 女性管理職比率が2.5%(19年時点)にとどまる女性登用については、「女性管理職数を25年度に14年度(約100人)比で4倍、30年度に5倍とする」というKPI(重要業績評価指標)を設定して解決に取り組んでいる。「最重要課題だと認識している。まだ目標は高くないが、女性が活躍できる社内の風土づくりを進めたい」(大塚DCSO)。

 トップの強い発信力とそれを裏打ちする地道な取り組みがトヨタブランドの骨格だろう。

伝えることがトップの責任
早川 茂 氏
トヨタ自動車 代表取締役 副会長 Chief Sustainability Officer(写真:鈴木 愛子)

 ここ数年、社会的な課題に対して世間の意識や関心が高まり、企業にも社会的責任が求められることが増えています。以前は、本業と社会貢献とは別という考えもありましたが、今は企業活動を通じてESGやSDGsに取り組むことが必須だという認識が日本企業にも根付いてきました。

 トヨタでは社会課題を解決し企業価値を高めるために何をすべきかを、長期的な視点を踏まえ様々な切り口で議論しています。2015年に発表した「環境チャレンジ2050」も、そうした議論を経てまとめたものです。

 従業員や取引先をはじめ、あらゆるステークホルダーの方々に信頼される存在にならなければ、企業として持続的に生き残ることはできません。それには説明責任を果たすことが重要です。「しっかり伝えることがトップとしての責任」という思いを社長の豊田章男は強く持っており、(テレビCMとネットで展開している)「トヨタイムズ」などを通じて自ら積極的に情報発信をしています。

 また、以前の株主総会では問題なく議事を進行することに意識が向いていましたが、今は一番の応援団である株主のみなさまとの対話になるべく多くの時間を割くよう努めています。

 20年2月にサステナビリティを推進するChief Sustainability Officerに就任し、国内外の現場から様々な取り組み事例の情報が集まるようになってきました。これらの情報をグローバルで共有し、「SDGsに本気で取り組む」というトップの思いを活動につなげていきたいと思っています。(談)