環境1位を支えるもう1つの側面が、「資源の有効利用」(1位)と「リサイクル」(3位)だ。最も力を入れているのが、プラスチックの使用削減と再資源化である。30年までにグローバルで使用する全てのペットボトルについて、リサイクル素材と植物由来素材に切り替え、化石由来原料の新規使用をゼロにすることを宣言している。その実現に向け、20年6月、使用済みプラスチックの再資源化事業に取り組む新会社「アールプラスジャパン」を12社の共同出資で設立した。
サントリーグループでは12年から米アネロテック社と植物由来原料100%のペットボトルの共同開発を進めてきた。今回、従来よりも工程の環境負荷を低減しながら、様々な種類の使用済みプラスチックを効率的に原料(モノマー)化し、別のプラスチック製品に再生するリサイクル技術の開発にめどがついた。
「これは当社グループだけでとどめておく技術ではないと考え、プラスチックに関わる企業に広く声をかけた。27年の実用化を目指していく」(北村部長)

(出所:サントリーの資料を基に作成)
「良い企業文化」は人づくりから
サントリーは、「インテグリティ」でトヨタ自動車に次いで2位だった。特に「良い企業文化が根付いており、製品・サービスを買いたくなる」で1位を獲得した。
なぜ、サントリーの企業文化が評価されるのか。20年に発行された同社の「コーポレート・コミュニケーション・ブック」にそれを知る手がかりがある。新浪剛史社長のメッセージだ。
新浪社長は、「(14年に)この会社に入って最初に驚いたことは、社員たちの愛社精神の強さ。それがサントリーの大きな強み」と述べている。さらに「社員にとって絶対的に信じられる哲学を持つことは企業を強くする。『やってみなはれ』『利益三分主義』という創業以来の企業哲学を大切にして、社会と共に成長・発展したい」としている。
企業文化をつくるのは、社員一人ひとりの営みである。「社員が企業哲学に共感し、会社に愛着を持っているからこそ、企業文化を継承できているのではないか」と北村部長はみる。「やってみなはれ」と「利益三分主義」は120年受け継がれてきた企業哲学であり、新人研修から徹底してたたき込まれる。座学だけでなく、「自ら手足を動かして体験する」のがサントリー流だ。
例えば新入社員は全員、「利益三分主義」を学ぶため、同社が運営する特別養護老人ホームなどでボランティア活動を行う。地域社会への貢献が絵空事ではなく、真摯に行われていることを入社時に知る。
「やってみなはれ」の実践としては、年1回開催される「有言実行やってみなはれ大賞」がある。従来にない新しい発想に基づくチャレンジングな活動を実践したチームを表彰するもので、19年は世界から約450チーム、4500人がエントリーした。

(写真提供:サントリー)
サントリーには、社員が成長するための様々な機会や仕組みがある。「伸び伸びと自分らしく生きている」実感が、会社への「共感と愛着」につながる。時代を超えて企業文化をつなぐ鍵は、人づくりにありそうだ。