ESGブランド調査2020取材班

約2万人にESGの視点から企業のブランドイメージを聞く「ESGブランド調査」。2000年から継続してきた「環境ブランド調査」の対象範囲を「環境(E)」だけでなく、「社会(S)」や「ガバナンス(G)」まで広げ、「インテグリティ(誠実さ)」の項目を加えた。第1回の調査結果で花王が第5位を獲得した。法令順守や取締役会などガバナンスで高い評価を受けた。企業理念である「花王ウェイ」を正面から実践している成果だ。

 花王は2018年7月にESG部門を立ち上げ、19年4月には中長期のESG戦略を策定するなど先進的な取り組みで知られる。

■花王のESGブランド調査順位

 同社がESG経営に本気で向き合っていることを象徴する事例がある。企業倫理やコーポレートガバナンスなどが優れた企業を米大手シンクタンクのエシスフィア・インスティテュートが選ぶ「World's Most Ethical Companies(世界で最も倫理的な企業)」。この賞に選ばれることを役員報酬を決める際のKPI(重要業績評価指標)にしているのだ。07年の創設以来、花王は日本企業で唯一、14年連続で選定されている。

 「この時期はやはり緊張する」と、法務・コンプライアンス部門を統括する竹安将執行役員は本音を漏らす。World's Most Ethical Companiesの質問票の回答期限(10月)が迫っているからだ。役員報酬に影響するだけに、回答担当者である竹安執行役員の責任は重い。

経営理念を本気で実践

 花王のESG経営の拠り所になっている経営理念「花王ウェイ」には、「よきモノづくり」「絶えざる革新」「正道を歩む」という基本的な価値観が掲げられている。「最も倫理的な企業」に選ばれるかは、正道を歩んでいるかどうかのバロメーターになるのだ。

■ 花王グループの企業理念「花王ウェイ」
出所:花王
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 企業理念を額縁の中に飾るだけではなく、日々実践している。このことは消費者にも伝わっているようだ。ESGブランド調査で総合第5位を獲得するだけでなく、環境、社会、ガバナンス、インテグリティの4テーマ全てで10位以内に入った。

 特にテーマ別で2位になったガバナンスへの評価は高い。設問別に見ると「法令を順守している」が2位、「企業活動の情報開示がしっかりしていて説明責任を果たしている」が5位、「取締役や監査役が機能しガバナンスが効いている」が6位だった。「法令順守の順位が高いのは素直にうれしい。社員向け研修や通報窓口設置など法令順守を強化してきた」(竹安執行役員)。

 例えば、通報窓口には年間約400件の通報がある。竹安執行役員は毎週、全案件を会議で確認し、深刻なものは社長をはじめとする経営メンバーで解決策を検討する。最近では、夜中にオンライン会議に呼び出されるといった在宅勤務ならではの苦情が増えているという。「従業員の法令違反やハラスメントをゼロにするのは難しい。“ぼや”の段階で消火するように心がけ、ハラスメントが増えている部署で研修を行うなどの対策を打つ」(竹安執行役員)。