約2万人にESGの視点から企業のブランドイメージを聞く「ESGブランド調査」。2000年から継続してきた「環境ブランド調査」の対象範囲を「環境(E)」だけでなく、「社会(S)」や「ガバナンス(G)」まで広げ、「インテグリティ(誠実さ)」の項目を加えた。第1回の調査結果から、上位企業の取り組みやテーマごとの特徴を連載で紹介する。今回のテーマは社会。女性雇用で資生堂、フェアトレードでスタバが突き抜けて高い評価を得た。各業界の先頭を走る先駆的な取り組みが社会イメージを押し上げる。

 社会イメージスコアランキングの上位には、トヨタ自動車、サントリーなどESGブランド指数トップテン企業が名を連ねた。その中で注目すべきは2位の資生堂。環境は54位、ガバナンスは13位、インテグリティは11位といずれもトップテン外だが、社会のスコアの高さでESGブランド指数を8位に引き上げた。

 「女性の雇用に積極的・女性が幹部に登用」「子育てや介護、闘病などと仕事を両立できる仕組みあり」の設問で1位につけたことが社会イメージを押し上げた。

■ 社会イメージスコアランキング上位50社
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社外活動も高評価の要因に

 従業員の8割を女性が占める資生堂は、「ジェンダーギャップの解決」をサステナビリティ方針の1つに掲げる。事業所内保育施設の設置や美容職社員のサポート人員を派遣する「カンガルースタッフ制度」の導入など、仕事と育児・介護の両立のための環境整備を進めてきた。

資生堂の女性リーダー育成塾“Next Leadership Session for Women”では、女性リーダー特有の悩みや課題に焦点を当てる(写真提供:資生堂)

 2017年からは女性リーダー育成塾“Next Leadership Session for Women”を開催。上級管理職を志す女性社員に女性リーダー特有の悩みや課題に焦点を当てた研修を行っている。

 こうした取り組みが実を結び、20年1月時点で取締役会での女性比率は45.4%に達する。19年の上場企業の女性役員比率が5.2%にとどまる中で群を抜く実績だ。また日本国内の女性管理職比率は33.1%と政府が目標に掲げる「30%以上」をいち早く達成。20年末までに40%到達を目標とする。女性活躍のモデルケースとなっていることが高い評価につながった。

 この数年は社外での活動にも積極的に取り組む。17年に日本企業で初めてUN Women(ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関)と契約を締結。19年、若年層を対象に「ジェンダー平等啓発ワークショップ」を共催した。19年には日本社会全体のジェンダーギャップ解消のため、役員に占める女性比率向上を目指す「30% Club Japan」の初代会長に魚谷雅彦社長兼CEOが就任した。こうした社外活動も多くの人の目に留まり、イメージ向上に一役買ったはずだ。

 スターバックス・コーヒー・ジャパンは「フェアトレードなど社会的格差や貧困問題の解消に積極的」で1位、「原料のトレーサビリティを確保している」で3位につけるなど調達に関する活動が高く評価された。

「エシカルな調達」実現

コーヒー豆のエシカルな調達99%達成にちなんだ「99キャンペーン」を実施(写真提供:スターバックス コーヒー ジャパン)

 スタバグループはコーヒー豆のエシカル(倫理的)な調達に力を注いでいる。04年に独自の調達ガイドライン「C.A.F.Eプラクティス」を導入。認証取得や農園管理の支援のため、主要なコーヒー生産国に9つの「ファーマーサポートセンター」を設置した。13年にコスタリカの「ハシエンダアルサシア農園」を取得。収益性の高いコーヒーの栽培方法、病害虫に強い新品種の開発、気候変動の影響を想定したコーヒー栽培技術などの研究を行い、その知見を基に生産者を指導してきた。15年以降、スタバが買い付けるコーヒー豆の99%がC.A.F.Eプラクティスやフェアトレード、その他の認証プログラムの基準をクリア。生産者の平均収入は4割増加している。

 国内店舗では、毎年9月にエシカルな調達99%にちなんだ「99キャンペーン」を実施。「99」と描いたカップを提供する他、セミナーやコーヒーテイスティングなどを行い、生産地での取り組みを紹介する。こうした活動も消費者の理解を深め評価を得る要因になったと考えられる。