コロナ禍の影響も

 日本政策投資銀行の竹ケ原啓介執行役員が指摘するのは、新型コロナウイルス感染症の影響だ。調査時期は20年5月25日〜6月30日で、企業が雇用を守るのかに注目が集まっていた。「雇用を守れる会社が、ガバナンスに優れた会社のイメージにつながった面があるのではないか」(竹ケ原執行役員)。

 先行きが不透明で業績見通しの発表を見送る企業が多い中、トヨタは20年5月の決算発表で「20年度に5000億円の連結営業利益を確保する」という見通しを発表した。トヨタがガバナンスの全項目で1位になったのには、「利益を確保し、雇用を守れる強い会社」というイメージが、ガバナンスの評価をつり上げた可能性がある。実際にトヨタに対する自由意見には、雇用を直接指摘するものはなかったものの、「日本を代表する会社」「業界をリードしている」といった声が目立つ。

 ガバナンス4位の富士フイルムに対する意見でも、「化粧品、医薬品など事業分野の多角化が成果を上げている」「多角的な企業経営で成功、最近では医療・化粧品分野にも進出して活躍」など、事業基盤の強さを指摘するものが多い。グループ企業が新型コロナウイルス感染症の治療薬候補「アビガン」を開発していることも影響している可能性がある。

拭い難いマイナスイメージ

 一方、マイナスイメージの上位には、大きく報道された不祥事のイメージが拭えていない企業が並んだ。関西電力は19年9月、原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役から役員ら20人が金品を受け取ったと公表した。レオパレス21は18年から大量の施工不良が発覚している。保険料の二重払いが明らかになったかんぽ生命も上位に挙がっている。

2019年発覚した役員らによる金品受領問題を受け、関西電力は経営陣を刷新。森本孝社長が就任するとともに、会長には社外から前経団連会長の榊原定征氏を迎えた。写真は20年6月の株主総会後に記者会見する森本社長(中央)<br><span class="fontSizeS">(写真:共同通信社/Getty Images)</span>
2019年発覚した役員らによる金品受領問題を受け、関西電力は経営陣を刷新。森本孝社長が就任するとともに、会長には社外から前経団連会長の榊原定征氏を迎えた。写真は20年6月の株主総会後に記者会見する森本社長(中央)
(写真:共同通信社/Getty Images)
■ ガバナンスのマイナスイメージ
■ ガバナンスのマイナスイメージ

 ブランドイメージは、企業がどのように行動し、それをどのように伝えたかの結果だろう。高いブランドイメージを築くのには時間がかかるが、それが崩れるのは一瞬で足りる。そんな当たり前の事実を改めて突き付ける結果になった。