次世代に注目を集める先導役を果たしたのは、環境活動家のグレタ・トゥンベリ(18)さんだった。19年9月の国連総会でのスピーチや、同世代を動員したストライキは世界に次世代のパワーを印象付けた。同年、グレタさんは米 TIME誌の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれている。こうした次世代への注目は一過性のものではないようだ。20年12月、同誌は「米国の若い世代から多くのリーダーが輩出されている」と「キッズ・オブ・ザ・イヤー」を設定した。第1号に選ばれたのはギタンジャリ・ラオさん(15) だ。ラオさんが水質汚染やネットいじめ、オピオイド依存などの社会課題の解決に取り組むためのアプリを制作した功績などが高く評価された(年齢は全て執筆時点)。

 もちろん、このような人材が日本にはいないわけではない。例えば、ソフトバンクグループ代表の孫正義氏が代表理事を務める孫正義会育英財団が支援する奨学生たちはいずれも驚くような突出した経歴を持ち合わせている。それ以外にも国内で様々な分野の次世代の社会起業家がメディアでクローズアップされている。

ESG投資の視点でみた次世代

 ESG投資の文脈で、企業と次世代とが関係するイシューを挙げるなら、真っ先にくるのは児童労働だ。例えば、資源採掘や食品、アパレル販売のようにグローバルなサプライチェーンを有する業種では、児童労働はESGリスクのうち最重要課題のひとつだ。次のイシューとしては、製品・サービスの開発、販促や広告における子どもへの配慮だ。例えば、デジタルコンテンツの年齢制限や、食料品や嗜好品における子ども向け広告など各国で徐々に規制が厳しくなってきている。

 こうしたリスク回避のための次世代への配慮だけではなく、ポジティブな視点で、「次世代」をステークホルダーとして捉えられないだろうか。一例として、次世代の社会起業家の支援がある。昨今、アクセラレータ事業やCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を始める企業が増えている。その目的の1つは自社の新分野での成長だ。

 この見方を少し変えられるなら、次世代の社会起業家は、現役世代が生み出した社会課題の解決に挑んで(くれて)いる貴重なステークホルダーと捉えられないだろうか。企業による場所提供、メンタリング、金融面、技術面の支援を通じ、起業家たちとの社会課題解決型ビジネスを軌道に乗せられれば、短期的な利益は出なくとも長期的には全てのステークホルダーの利益に貢献できるはずだ。

 日経ESGの記事でも取り上げられている、ミドリムシ事業のユーグレナ社が設置する18歳以下のCFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)も次世代をステークホルダーとして捉えるものだ。そもそも本記事を書くきっかけは、20年11月にCFOのお二人にインタビューさせていただいたことだ。前世代が生み出した社会課題に向き合う次世代の前向きな姿勢に触れると、応援したいと思うのは著者だけではないはずだ。企業という公器を通して組織的な形で次世代を支援していける社会を目指したい。