毎年3月8日は国際女性デーだ。その歴史は約100年前に世界各地で起きた女性の地位向上活動に遡る。2018年は「#metoo運動」に後押しされ注目が集まった。国連女性機関(UNWomen)は、21年のテーマを「リーダーシップを発揮する女性たち:コロナ禍の世界で平等な未来を実現する」と設定した。過去1年間、新型コロナウイルスの感染拡大は世界の女性がいかに不平等で脆弱な環境に据え置かれているかを顕在化させたからだ。

 その矢先に起きたのが、2月上旬の東京オリンピック・パラリンピック組織委員会・森喜朗前会長による「女性蔑視発言」だ。発言者だけでなく、それを取り巻く周囲の反応の鈍さに対する怒りや落胆といった負の感情が世界中から巻き起こった。これを前向きに捉えれば、企業や投資家そして社会にジェンダーレンズをセットする契機といえる。

新型コロナ対策とジェンダーレンズ

 私たちが物事を認識するときにジェンダーを平等に捉える視点を持つことを、眼鏡をかけることになぞらえて、「ジェンダーレンズ」という。世界がコロナ感染拡大期にあった20年4月9日、国連グテーレス事務総長が各国のコロナ対策においては、より影響を受けやすい女性・女子への配慮を中核に据えるべきとの声明を発した。

 UNWomanによれば、20年上半期にコロナ禍で非労働力人口に陥った女性の数は、驚くべきことに男性の1.7倍だった(55カ国平均)。このまま女性・女子に配慮した政策が実行されず、優先順位の誤った政策を放置すると、21年中には新たに4700万人の女性・女子が、1日1.9ドル未満で生活する極度の貧困状態に陥ると警鐘を鳴らしている。

 国内でも、女性の雇用環境の悪化、コロナ禍の家庭内暴力の増加、女性の自殺増加という胸の痛む統計が次々に発表された。

出所:内閣府「コロナ下の女性の影響と課題に関する研究会」資料から著者が抜粋

 内閣府の男女共同参画局は20年9月に「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」を設置し、性別による影響やニーズの違いに配慮した政策課題の把握と政策立案を進めている。そして、ジェンダーレンズを掲げる同研究会が同年11月19日に出した緊急提言は以下だ。なぜこうした配慮が必要なのか。それは本来平等であるはずの様々な権利が性別を理由に損なわれないためだ。

出所:内閣府「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」