日本初のソーシャルボンドにセカンドパーティ・オピニオン

 2016年8月、独立行政保人国際協力機構(JICA)向けに「ソーシャルボンドとしてのJICA債」というセカンドパーティ・オピニオン(SPO)を日本総研が外部評価機関としての立場から発行した。当時、SPO作成に参照したのは、ICMA(国際資本市場協会)のソーシャルボンド原則の前身であるソーシャルボンド・ガイダンスであった。14年に作成したグリーンボンド原則の補足的文書の位置付けだ。

 そもそもソーシャルボンドとは、社会課題の解決に資するプロジェクトの資金調達のために発行される債券を指す。発行体としても、国内初のソーシャルボンド発行であったことに加え、評価をする立場としても、国内初の日本語のSPOとなった。

 それから約5年、国内のソーシャルボンドは7615億円に達し、ESG市場全体では国内債だけでも2兆円を突破した(図表)。17年には、ソーシャルボンド・ガイダンスは、グリーンボンド原則と並列となるソーシャルボンド原則へと格上げされた。

 国内外での発行が徐々に増加してきた矢先、ソーシャルボンドに大きな注目が集まったのは20年に発生したCOVID-19のパンデミックだ。20年初頭、感染症対策を資金使途としたソーシャルボンドによる資金調達が市場で急速に広がった。

■ 国内発行体によるESG債発行額推移
出所:Bloomberg
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 ソーシャルボンドは市場の成長につれ、その中身も進化しつつある。情報開示の具体化が市場全体から求められている。機関投資家の関心も徐々に変化している。資金供給を行う先の事業・アセットを通じた社会や環境側面のインパクト、そして持続可能な開発目標(SDGs)の目標との整合性といった、情報開示内容に注目が集まりつつある。

 ICMAはこれまでも外部環境の変化に合わせ、ソーシャルボンド原則を進化させてきた。例えば、20年6月にはCOVID-19対策のためのソーシャルボンド増加に合わせ、対象事業や受益者に具体例が追加された。

 21年6月の改訂でも、COVID-19対策のためのソーシャルボンド発行についてのFAQがガイダンスハンドブック内に提供された。同時に発行体向けに「ソーシャルボンドの発行前チェックリスト」も公表している。同リストは、発行体はボンド発行前にSDGsとの整合性を確認することを推奨するなど実施すべきアクションが記載されている。