どうすれば、サステナビリティ配慮を促し、個人の行動変容を起こすことができるのだろうか。2050年までにカーボンニュートラルの達成を目標設定した日本政府は、企業努力による脱炭素の取り組みに加えて、個人のライフスタイルの変容の必要性も掲げた。その理由はシンプルだ。脱炭素を実現するには、経済・社会の一部を形成する個人の存在は欠かせないからだ。

 名目GDPの内訳では、個人消費は53%(20年度)で、国内消費のカーボンフットプリントの排出源の6割以上が家計からの排出と言われる(下の図)。つまり、個人のライフスタイルが気候変動問題の悪化に影響を与えているからこそ変容が求められているのである。

■消費ベース(カーボンフットプリント)から見た我が国の温室効果ガス排出源の内訳
■消費ベース(カーボンフットプリント)から見た我が国の温室効果ガス排出源の内訳
出所:令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書(P.17)

「グリーン×デジタルによるライフスタイルイノベーション」

 個人の行動変容を促す施策の1つがデジタルの活用だ。20年 12 月に内閣府に設置された「国・地方脱炭素実現会議」は、21年6月に「地域脱炭素ロードマップ」を公表した。その基盤的施策の1つとして、「グリーン×デジタルによるライフスタイルイノベーション」を掲げている。

 これは、「あらゆる商品・サービスの温室効果ガス排出が「見える化」され、AI による自動選択も含め、国民がライフスタイル(ワークスタイル・働き方も含む。)の中で、自然と脱炭素に貢献 する製品・サービスの使用など脱炭素行動を選択できる社会の実現を目指す」ものだ。

 具体的には、(1)製品・サービスのCO2排出量の見える化、(2)CO2削減ポイントやナッジ(*)の普及拡大、(3)脱炭素の意識と行動変容の発信・展開――の3点である(下の図)。

 *ナッジ(nudge):英語で「肘で突く、そっと後押しする」という意味。経済インセンティブではなく、行動科学の知見に基づき、人々が社会、環境、自身にとってより良い行動を自発的に選択するよう促す政策手法を指す

■グリーン×デジタルによるライフスタイルイノベーション施策
■グリーン×デジタルによるライフスタイルイノベーション施策
出所: 令和3年6月9日付「国・地方脱炭素実現会議」資料より抜粋して著者作成