世の中は、株主至上主義からステークホルダー資本主義へと急速に歩みを進めている。多くの企業が、株主以外のステークホルダーに対する配慮を重視し、そのための取り組みを強化し始めた。では、この先の株主と会社の関係性は一体どうなっていくのだろうか。それを考えるに当たり、この1~2年、筆者が注目しているのが株式投資型クラウドファンディング(以下、ECF: Equity Crowd Funding)だ。

「ファン」株主の登場

 少し遡ること2019年、国内最大のECFプラットフォームであるFUNDINNO(運営:日本クラウドキャピタル)を通じて、KOTOBUKI Medical(埼玉県、18年設立、医療関連機器製造)は、約600人の個人株主からの支援を受けて約9000万円の資金調達を成立させた。この会社に投資し、株主になった人たちと創業メンバーのミートアップに、筆者は縁あってモデレータとして参加させていただいた。株主と会社の新しい関係を感じたのはその場でのことだ。

 ミートアップには全国から株主が集まった。創業メンバーと直接対話し、販売中の製品に実際に触れられる場は、まさに「ファン」の株主によって終始、熱気の高い場になった。もっとも印象的だったのは、遠方から駆け付けた株主が創業者に手土産を持参されたことだ。普通、伝統的な株主総会であれば、会社側が株主に手土産を用意するものだと思っていたが、真逆のことが起きた。

株式投資型クラウドファンディングとは

 一般にクラウドファンディングというと、社会的事業や被災者支援に対する寄付型や、地域の名産物や消費期限直前の食品などの購入型の方が、馴染みがある読者が多いだろう。だが、資金調達の仕組み自体は寄付型、購入型、株式投資型のいずれもインターネット上で整備されている点では同じだ。クラウドファンディングに参加する人々への対価が、寄付を通じた心理的満足か、製品獲得による効用か、非上場株式の所有権の取得か、という点が異なるだけだ。

 国内のECFは、15年の金融商品取引法などの改正後、17年に第1号の資金調達が成立し、現在までにスタートアップの資金調達方法の1つとして徐々にその取扱金額や件数が拡大している(下のグラフ)。

■国内の株式投資型クラウドファンディング成立状況
出所:日本証券業協会の統計に基づき著者作成
注:成立総額、成立件数のいずれも、株式+新株予約権を合わせた数値