「ゼブラ企業」と名乗る意義

「ゼブラ企業」と名乗るメリットはどんなことがあるか。

田淵氏 資金調達におけるメリットがある。事業の性質からして成長プロファイルがユニコーンと同じスピード・規模ではない企業が、ゼブラと名乗ることで一般的なベンチャーキャピタルではない、ゼブラに関心を持ってくれる長期志向の投資家と出会うきっかけになる。

阿座上氏 ゼブラのコミュニティへの帰属意識ではないか。合理主義や功利主義といった特定のクラスの人たちだけが儲けるという世界観ではなく、共生するという価値観だ。

陶山氏 ゼブラと名乗ることの意義の1つ目は、Zebras Unitesへのコンセプトに対する「共感」を示すこと。2つ目は、「アイデンティティ」を示すことではないか。ゼブラと名乗ることで、社内外のステークホルダーに対して、事業を通じて目指す方向性を明らかにすることができる。

「ゼブラ企業」の活動に対する国内の反応は?

田淵氏 非常に良い。特定の業界・業種ではなく、起業家、地域自治体、地銀、信金、起業家、メディア、多方面から良い反響を得ている。国内にもゼブラ企業と呼べるような地域企業はたくさんある。もともと世の中にあったもので、埋もれてしまった価値を発掘するようなことを進めていきたい。

ESG投資が向かう先

 この数年でESG投資は急速に広がった。著者が所属するチームは独自のESG評価基準とチェックリストを基に公開情報やインタビューをベースとした企業評価を実施してきた。市場の成長に伴い、近年ではこうした企業評価にもAIが導入され、様々な評価ツールが増え、DXが進んでいる。

 冒頭に示した20年度末のESG投資残高 約514 兆 528 億円は、回答機関の総運用資産の約6割を占める。ESGのトレンドと技術の革新によって、ESG投資の比率は今後さらに上がるはずだ。そうすれば「ESG投資であること」の価値は相対的に薄れることになる。では投資家が企業を視るとき、ESGの次に注目すべき点は何か。その解は先に論じた投資先のマインドセットや、金融が将来もたらし得る環境や社会へのインパクトになってくるだろう。ゼブラアンドカンパニーの方々へのインタビューを通じ、金融行動や事業による環境や社会へのインパクトを評価することは当たり前のことだという発言が印象に残った。

 折しも、21年11月29日、国内の都市銀行、地方銀行、VCなど多様な金融機関21社が「インパクト志向金融宣言」に署名したことを社会変革推進財団が発表した。同宣言は、「金融機関の存在目的は投融資先の生み出す環境・社会への変化(インパクト)を捉え、環境・社会課題の解決を導くことである」という考えに賛同した金融機関が、インパクト志向の投融資の実践を進めて行くためのイニシアティブだ。金融が少しずつ変わろうとしていく中、「ゼブラ」のコンセプトは少し先の未来を見据え、これからの金融や企業のマインドセットのヒントになるものだ。

【取材協力】

  • 社名 :株式会社Zebras & Company(ゼブラアンドカンパニー)
  • 事業 :「ゼブラ企業」という概念の認知拡大のためのムーブメント・コミュニティづくり、社会実装のための投資や経営支援の実行
  • 創業者:代表取締役 阿座上陽平氏、陶山祐司氏、田淵良敬氏
  • 公式サイト:https://www.zebrasand.co.jp