新型コロナウイルス感染者数が再び増加し、人々の移動は再度抑制されることになった。長引く移動制限は、人々の消費の「量」にも「質」にも様々な変化を与えている。

 「量」の変化で最も分かりやすいのはフードデリバリーだ。外出自粛期間の2020年4~6月の間、日本国内のUber Eatsの注文総額は、前年度同時期と比べ5倍(+400%)に増えたという(同社決算資料)。ネット通販のAmazonも在宅ニーズを捉え、同四半期で過去最高益を更新している。

 では、「質」の変化とは何か。20年度初期、小売店での日用品買い占めがトピックとなった後、外食・サービス業の余剰食材を救済目的で買う、消耗品を大事につかう、シェアリングサービスですませるといった、消費者の変化が生まれているのではないか。そうした消費者の変化にうまく対応している企業の事例を紹介したい。

ブラックフライデーからグリーンフライデーへ 

 米国では毎年11月第4木曜日にサンクスギビングデーがある。翌金曜日に小売業が大規模な一斉セールを行う。1年を通じ最も黒字が見込まれることにちなみ、ブラックフライデーと呼ばれ、いまや全世界に広がるムーブメントだ。この2~3年、国内小売企業のなかにもブラックフライデーで集客に成功している企業もある。

 しかし、良い面ばかりではない。環境意識の高いフランスでは、大量消費、過剰包装、大量廃棄をうみだすブラックフライデー批判が17年頃から徐々に高まりつつあった。それをグリーンフライデー運動という。それに賛同する企業は、ブラックフライデー期間にセールを行わず、店舗を閉める、売上の一部を寄付する、リサイクルを推進するなどの取り組みを行っている。

 国内企業では恐らく初めて、今年グリーンフライデーに賛同したのが国内最大級のフリマアプリを運営するメルカリだ。ブラックフライデー前日の20年11月26日、新品商品ゼロの「サステナブルファッションショー」をオンラインで配信した。参加者が持ち寄った不要な服を、若者に人気の男女のスタイリストがメルカリで購入した服と合わせてコーディネートし、おしゃれに再生させるというイベントだ。

 その他、スウェーデン発祥の家具大手、イケアでは、20年11月26日から12月6日まで、ブラックフライデーならぬ「BuybackFriday (バイバックフライデー)」と称する家具買い取りキャンペーンを実施した。30年までに循環型でクライメートポジティブ(温室効果ガスの排出量より削減量を多くする)な事業活動の実現を目指す同社が、消費者に対してより循環型の消費行動を促すための取り組みの一環である。

 このような、単なる製品の割引セールという価値を提供するだけではなく、製品の購入を通じて、持続可能な社会形成の一員として消費者に新たな気付きや共感を与えるマーケティング活動というものは今後増えていくのではないだろうか。