「幸せ」の効果検証

 丸井グループのウェルネス経営の目的は、「人と社会のしあわせ(Well-being)」です。それを検証するために様々な試行錯誤を続けてきました。

■ 丸井グループのウェルネス経営では目的に向かって試行錯誤を続けている
丸井グループのウェルネス経営では、「人と社会のしあわせ(Well-being)」を目的に、様々な取り組みを続けている。図はその評価指標の1つ(全社員対象の調査)。幸せに関係する指標は上昇傾向が見られる
(出所:丸井グループ)

 その一環として2020年度、日立製作所の矢野和男フェローが開発した幸せを数値化するアプリを活用し、実証実験を複数回行いました。具体的には、自発的に参加した社員700人が、幸せの数値を上げる行動を取ることで、職場の活力を高めていきました。研究者の試算によると、この実証実験における社員の幸せの向上効果は、21億円の営業利益増加に相当する結果となりました。

 この結果は、20年12月の投資家説明会で報告し、統合報告書でも公表しています。投資家から、「その方法で本当に幸せが測れるのか」「幸せは利益につながるのか」といった指摘が出ることも想定していました。しかし意外にも、「人の活力を高める取り組みの効果を数値化した意義は大きい」と、むしろ好意的に受け止めてもらえました。現在は、取り組みの良い点と課題を検証し、幸せという目的に近づくために取り組みをさらに進めています。

 もっと足元から、組織の中でできることもあります。私が共に学ぶ産業医との勉強会では、「我々は健康のプロとして人と組織を統合し、活力を高め、事業と社会の発展に貢献する」という本質的な目的を共有し、文面にも表しています。

 毎月の勉強会の最後には、「チェックアウト」というシステムがあります。「今日は、誰が最もこの目的に近づく言動をしたか」を全員がコメントし、目的を意識して行動できた人を讃えるのです。本質的な目的を常に意識して行動する、組織の慣行です。

 複雑系の世界では、「おそらく、大体正しい」かどうかを、高頻度に検証して次の行動につなげていく。「生命を進化させる究極のアルゴリズム」とも言われるPAC理論は、私たちを本質的な光(目的)に導いてくれるヒントと、勇気をくれるように思います。