知性が発展を左右する

 ピーター・ドラッカーの後継者とも言われる思想家のジム・コリンズ氏は、自著『ビジョナリー・カンパニー 2 飛躍の法則』(日経BP)で、飛躍を続けた企業の成功要因を分析しています。客観的な株式運用成績のみを選別基準とし、少なくとも15年以上成長し続けた企業と、その条件に当てはまらない同じ業界のナンバー2の企業とを比較しています。

 当初は、組織のビジョンや社内システム、技術力といった要素が重要であろうという仮説を立てて、構造的な調査を開始しました。しかし実際の調査では、「どのような人が組織を導いているか」が最も重要な要因であることが分かったのです。

 この調査研究では「第五水準のリーダーシップ」と表現されていますが、人の性質、適応的知性が、企業の発展において最も重要な要素だということです。人の採用や育成についても、「性質の良い人を採用して技術を教える方が、技術を持ってはいるが性質が劣る人を採用するよりも良い」という経営者の話を、同書は繰り返し取り上げています。

 パナソニックの創業者である松下幸之助氏は、自著『仕事の夢 暮しの夢 成功を生む事業観』(PHP研究所)で次のように述べています。

 「私はいろいろな人から、よく思いもよらぬことを聞かされる。『あなたの事業経営の秘訣は?』『あなたの金もうけのコツはどこにあるのか』、『億万長者になるには、何かとくべつなやり方があるのですか』(中略)等々、まるで、私が経営の神様か、金もうけの天才でもあるかのような質問ぜめである。私は、そんなとき、よくいうのだが、世の中には、そんな秘訣とか、コツとか、それさえ心得ていれば何でもできるという当意即妙なんて、絶対にありえない、と考えている。(中略)むしろ宇宙や大自然にとけこんで、これと一体になりきってしまう。これが人間のほんとの姿であり、その結果あらわれてくるものが、世の中でいう成功とか成就とか、あるいは億万長者ということになるのではなかろうか」

 この話は、人の適応的知性の違いを教えてくれているように私は思います。組織や社会の発展を左右する人々の適応的知性を高めるには、どうすればよいのでしょうか。それも研究されていますので、次回、紹介します。