前回に引き続き、サーキュラーエコノミー(CE)の5つのビジネスモデルを掘り下げて解説していきます。今回は「シェアリング・プラットフォーム」と「製品のサービス提供」の2つについて事例を交えながら、詳しく見ていきましょう。

高額製品から広がるシェアリング

 カーシェアリングや民泊など、近年では様々なシェアリング・サービスが日本でも広がりつつあります。これらのサービスでは、主に所有者と利用者が共通のデジタルプラットフォーム上でつながることで、製品や資産の共同利用を通じた価値の最大化が図られています。本稿ではこれを「シェアリング・プラットフォーム」と呼ぶことにします。このプラットフォームを介し、所有者は遊休資産化している自動車や不動産などをサービス化して稼働率を引き上げ、より高い収益を確保できる一方、利用者は自分で購入するよりも手ごろな価格で一時利用することが可能になります。

 アクセンチュアが、主要なシェアリング対象製品を分類し、稼働率と初期購入価格でマッピングしたところ、以下の図のような結果になりました。現在、便益が大きいのは、自動車や家のように初期購入価格が高く、かつ稼働率が低い製品です。そうした領域から放射状にシェアリングの対象製品が広がる傾向があります。

■ 製品領域別のシェアリングの広がり
シェアリングの便益が最も大きいのは、初期購入価格が高く稼働率が低い製品。こうした領域から、放射状にシェアリング対象製品が広がっていく状況にある
SKU:商品管理の最小単位(品目) 出所:アクセンチュア
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 この分布を見る限り、消費者にとって初期購入価格の負担感が高く、購入後の稼働率が低いもの(例えば自動車の稼働率は平均8%程度)は、シェアリングを活用するのが合理的という判断が働きやすいと言えるでしょう。シェアリングという形態が消費者にとって当たり前のものとしてさらに浸透すれば、今後、シェアリングの対象となる領域はより一層拡大していくものと思われます。

 このように、シェアリングという形態そのものは消費者の有力な選択肢の一つとして受け入れら始めた一方で、本連載の第3回で紹介したCEの原則(「4つの無駄」を無くす視点や「10の技術」)を意図的に組み込んだシェアリング・プラットフォームの事例は、まだほとんど登場していません。

 大企業が自社でシェアリング・プラットフォームを構築する場合、既存のビジネスモデルからの転換にかなりの調査や調整が必要となることが多く、結果として、先行する企業の多くはスタートアップ企業が占めている状況です。代表的な例では、民泊仲介の米エアビーアンドビー(Airbnb)、ライドシェアの米リフト(Lyft)、カーシェアの米ジップカー(Zipcar)などが挙げられます。これらの企業はいずれも企業対消費者の取引(B2C)市場を主な領域としていますが、現在では事業者間取引(B2B)市場向けのサービスを提供するスタートアップ企業も急成長しています。フィンランドを拠点とするイーレント(eRENT)もそうした注目企業の1つです。