IoTを活用した建設機器のシェアリング

 イーレントは、建設機器レンタル会社や建設会社など向けに各種機器や機械管理のためのプラットフォームを提供しています。IoT(モノのインターネット)を活用してフィンランド内にある建設機器の情報を収集し、遊休資産と新しい需要を結び付けるサービスを展開しています。

 従来、建設機器をレンタルする場合、倉庫に電話し、在庫の確認や予約の手続きをしなければならないほど、デジタル化が遅れていましたが、同社はセンサーなどにより各機器の利用状況などをウェブ上で可視化できる仕組みを構築しました。同社の発表資料によれば、顧客は施設や機器に関連した管理費用を平均で約20%削減できるとされています。

製品に代わって機能を売る新モデル

 次に、「製品のサービス提供」について解説します。これは、企業が製品の所有権を保持しながら、その価値をサービス(機能)として顧客に提供するビジネスモデルです。従来のように消費者が製品を購入し、所有権も保持するという売り切り型のビジネスに代わるものです。契約形態には、リースや従量制課金に加えて、様々なサービスで採用が進んでいるサブスクリプション契約(定額の継続課金)などが含まれます。

 この枠組みにおいては、企業は安定したサービスを提供するために必要な製品の保守や回収などに責任を負います。その一方、利用者は必要なときだけモノを使い、使った分の利用料を支払えば、モノを所有する必要がなくなります。購入する場合と比べて初期投資を大幅に抑えられます。

 企業にとっては売り切り型のビジネスを手放すことで製品の販売量が減り、売り上げが落ち込む可能性があります。半面、製品の機能を継続的に提供することで、顧客と長期的かつ密接な関係を築けるのは大きなメリットになります。この関係を生かして顧客の利用状況を分析し、新たな顧客ニーズの発見や新サービスの開発などにつなげられれば、企業は新たな収益につながる付加価値を生み出すことが可能になります。

タイヤのサービス化を通じ、資源循環を加速

 具体的な取り組みとしては、タイヤメーカー仏ミシュランによる「サービスとしてのタイヤ」(Tire-as-a-Service)が先駆けとして知られています。これは、法人顧客である運送会社にタイヤという従来の「製品」を購入してもらうのではなく、実際に顧客のトラックが走行した距離に基づき、その「成果」としてタイヤのリース料金を請求するサービスです。

 これは、車両やタイヤに組み込んだ通信機器やセンサーでタイヤの利用データを収集する技術(連載第3回で紹介したCEを推進する10の先端技術のうち、「ビッグデータ・AI・アナリティクス」に該当)を効果的に活用した、「所有から利用へ」の時流を捉えたサービスです。同社はサービス提供者としてパンクの修理やタイヤの交換などの責任を負うことで、顧客接点の回数や期間を延ばすことに成功しています。より長く使える製品を製造し、保守を通じて長期間にわたり再利用していくことが、メーカー側にとっても収益面でインセンティブとなる仕組みができた点は注目に値します。

 さらに、同社はサプライチェーン全体を見直し、寿命を迎えた製品をほぼ100%回収、リサイクルしてリトレッドタイヤ(溝がすり減った外側のゴムを削って新しいゴムを装着したタイヤ)として再製品化するなど、資源循環を加速させています。 このように同社が製品のサービスを提供する過程で、製品寿命の延長や回収・リサイクルに関連した取り組みも推進したことは、CEの5つのビジネスモデルが密接に関わっていることを示していると言えます。

 次回はこの5つのモデルうち、「製品寿命の延長」と「回収とリサイクル」について解説しながら、企業はどのようにCEの価値を最大化していくかについて解説します。