三菱UFJリサーチ&コンサルティング 経営企画部 副部長 プリンシパル・サステナビリティ・ストラテジスト 吉高 まり 氏<br><span class="fontSizeS">(写真:清水 盟貴)</span>
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 経営企画部 副部長 プリンシパル・サステナビリティ・ストラテジスト 吉高 まり 氏
(写真:清水 盟貴)

 2020年11月3日に米国で行われた大統領選で民主党のジョー・バイデン候補の当選が確実になったと報じられています。バイデン氏は選挙期間中、温暖化防止の国際条約「パリ協定」への復帰や排ガス規制の強化、そして政権1期目の4年間にわたる気候変動問題に対処するためのインフラとクリーンエネルギーに対する2兆ドル(約207兆円)の投資方針を掲げました。

 電気自動車の充電インフラや、CO2排出を抑えたエネルギーなど、現時点で投資対象として検討されている事業は多岐にわたるとみられます。バイデン氏の大統領への就任後、これらの政策や投資の方針が実際に実現するかどうか、注視する必要があります。

 ただ今、明らかなことは、財政出動の方針を示したことが、米国市場で関連ビジネスを手掛ける企業はもちろん、投資家や金融機関にとっても、このビジネスに追い風が吹くシグナルとして働くということです。気候変動の防止につながるビジネスを手掛ける企業、気候変動対策に積極的な企業への投融資が、米国内でいっそう加速するとみられます。

投資家がなぜ気候変動に注目するのか

 とはいえ、ドナルド・トランプ大統領の政権下にあったこの4年間も、米国で気候変動対策への投融資が縮小していないことは読者もご存じでしょう。

 トランプ大統領は「パリ協定」から離脱したほか、気候変動の原因となるCO2を排出する化石資源を扱う業界にも手厚い政策を打ちました。そんなトランプ政権下でも、ESG投資家と呼ばれる巨大な機関投資家を中心に、金融機関による気候変動防止のための投融資が積極的に行われています。

 その背景にあるのは何でしょうか。特に米国の金融機関や投資家は、政府方針や政策をシグナルと捉えることはあれ、政府に「統制」されることは嫌う傾向にあります。ならば、トランプ政権の方針への反動、反発なのでしょうか。それだけに留まらない気候変動の防止に対するモチベーションが、米国内で高まっています。