三菱UFJリサーチ&コンサルティング 経営企画部 副部長 プリンシパル・サステナビリティ・ストラテジスト 吉高 まり 氏(写真:清水 盟貴)

 2020年も残すところ数日となりました。21年はどのような年になるでしょうか。

 世界の政治や経済のリーダーたちによる世界経済フォーラム(WEF)は、21年5月にシンガポールで開く年次総会のテーマを「グレートリセット」であると公表しています。これは、より公正で、持続可能かつレジリエンス (回復する力)のある未来のために、経済や社会システムの基盤を緊急に構築するという、リーダーたちのコミットメントを示しているとWEFは説明しています。

 新型コロナウイルス感染症の拡大が世界を覆う以前から、第4次産業革命との社会・経済の調和のため、データガバナンスやヘルスケア、スマートシティやモビリティの進化、アジャイルガバナンス(第4次産業革命に対応するガバナンスの進化・強化)といったテーマが、これからの社会の課題と見られてきました。

 WEFが掲げたグレートリセットは、これらコロナ禍以前から経済が抱えてきた課題に、「環境の健康を回復する」「持続可能なビジネスの開発」という、2つのESGに関わるテーマが加わったものと言えます。新型コロナウイルス感染症との闘いを通じて、サステナビリティやガバナンスの重要性がいっそうクローズアップされています。

 21年、「ニューノーマル(新常態)」と呼ばれるこれからの社会・経済において、サステナビリティとその実現のためのガバナンスを整えていくことは、経済活動におけるメインストリーム(主流)の取り組みになっていくと見られます。

ESG評価の高い株式銘柄はパフォーマンスも良い

 さて、前回は「ESGマネーが気候変動に注目する理由」について取り上げました。今回は、気候変動に注目するESG投資家が、投融資対象になる企業の何に着目して投資判断しているのかを見ていきたいと思います。

 特に株式投資の場合にESG投資家が注目するのは、その企業の「将来」のリスクと機会(オポチュニティ)、そして成長戦略です。これらが期待感を抱かせ、投資家の投資行動につながります。

 だからこそ、金融安定理事会の「気候関連財務情報タスクフォース(TCFD)」は、企業に対し将来の気候変動にかかわるリスクと機会、ガバナンスと戦略の情報開示を求めています。これらの情報が、ESG投資家の判断の基礎となるからです。