商品開発でやりがいを引き出す
従業員がいきいきと働くための仕掛けの1つが、今年6月30日から全国一斉発売した「47 JIMOTO フラペチーノ」。全国47都道府県の店舗で働く従業員が地域色豊かなフラペチーノを考案し、各県で1つずつ最も秀逸なアイデアを商品化した。
例えば栃木県は雷の多発地帯であることから「栃木らいさまパチパチチョコレートフラペチーノ」、沖縄県は特産品を利用した「沖縄かりーちんすこうバニラキャラメルフラペチーノ」といった具合だ。

(写真:スターバックス)

「地元に住んでいなくては思いつかないような個性豊かなアイデアが出そろった。お客様もご当地の商品をSNSで盛んに発信してくださり、コミュニケーション効果も大きかった」と、古川部長は話す。
47 JIMOTO フラペチーノは発売1週間で延べ約250万個を販売するヒットとなった。自分のアイデアが商品化されることで働く意欲が生まれ、売れることで達成感を味わえる。人づくりとマーケティングの両方で成果を上げた仕掛けといえる。
聴覚に障がいのある従業員と健常者が共に働き、自分らしく活躍できる場所の実現を目指した取り組みもある。昨年6月に東京都国立市にオープンした「スターバックス コーヒー nonowa国立店」は、主なコミュニケーション手段として手話を使用するサイニングストア。聴覚に障がいのある来店者にとっても、働く従業員にとっても居心地のよい店舗を目指している。



(写真:スターバックス)
「聴覚に障がいのあるパートナーからサイニングストアをやってみたいという声が上がり、2年間実証的なプログラムを繰り返してオープンにつなげた」(古川部長)
nonowa国立店には健常者も手話に気軽に触れられる工夫がある。店内にデジタルサイネージを設置し、レシートに印字された商品番号を表示して出来上がったことを利用客に知らせる。そこに「こんにちは」など挨拶でよく使う手話をイラストで表示した。また、手話をモチーフにした数々のアート作品を掲示し、その楽しさと奥深さを伝えている。
ミッション&バリューを起点に多彩に展開するスターバックスの取り組みは、今後も注目を集めそうだ。