日経ESG・ESGブランド調査2021取材班

新型コロナによる旅客需要の消失という逆風の中、課題解決に取り組む。環境、人権、地域創生、D&Iを重要課題として特定し、ESG経営を推進する。

 新型コロナウイルスの感染拡大で大きな影響を受けている航空業界。パンデミックで社会・経済活動が大幅に制限され、旅客需要は国内線、国際線とも激減した。

 本来は、東京2020オリンピック・パラリンピック大会の開催や訪日客の増加を追い風に成長する絵を描いていたANAも事業戦略の見直しを余儀なくされた。

 アフターコロナに向けて再び成長軌道に乗せていくため、ANAでは「環境」「人権」「地域創生」「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」という4つの重要課題を特定してESG経営を進めていく。

■ ANAの重要課題のマトリックス
■ ANAの重要課題のマトリックス
出所:ANA「統合報告書 2021」

 4つの経営課題のうち「人権」については特に力を入れて取り組んでいる。2018年に日本企業として初めて「人権報告書」を発行し、グローバルに事業展開する企業として、国際的に求められる「ビジネスと人権」の理解を深め、人権尊重をESG経営の中心に据えた。

 15年には「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を発表し、女性をはじめ、障がい者、シニア、外国籍社員など多様な人材の活躍を推進する専任部署も設け、働き方改革とともに環境整備に力を入れる。

 こうした取り組みが評価され、今回の調査では社会イメージスコアが前年の28位から17位に上昇した。

■ ANAのESGブランド指数
■ ANAのESGブランド指数
■ ESGブランド指数トップ10
■ ESGブランド指数トップ10
11位から100位のランキング、調査方法はこちらを参照ください
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2050年に航空機の排出ゼロ

 もう1つ重要なテーマが気候変動など「環境課題への対応」だ。航空機は他の輸送手段に比べて運航などで二酸化炭素(CO2)を多く排出し、気候変動にも大きな影響を与えるため、航空業界にとって脱炭素の取り組みは喫緊の課題だ。

 調査では環境イメージスコアが71位にとどまり、他の社会、ガバナンス、インテグリティの指標を大きく下回った。